Girl Meets Devil 〜その\〜-1
暑かった夏は暦の上ではとうの昔に過ぎ去って今は10月、季節は天高く馬肥ゆる秋。
あの悪魔と出会って、既に半年が過ぎた……
もはや、当たり前となった生活…
それは、これからも変わらない。
そう信じていた……
「恭夜〜。どこにいるの?」
朝、恭夜が見当たらない……
家に響くのは私の声だけ……
「おかしいなぁ…先に学校行ったのかな?」
でも、こんなこと今までは無かったし、恭夜も昨日の夜何にも言わなかった……
「とにかく、学校に行って明希に聞いてみよ。」
もしかしたら何か用事があったのかも…
でも…何なんだ?この嫌な胸騒ぎは?
「おっはよ〜、茜!」
「おはよ、明希。ねぇ、恭夜知らない?」
ここまでは普段と変わらなかった。
けど、明希の答えは私の日常を破壊した……
「恭夜って……誰?」
えっ……
明希ハ何ヲ言ッテイルノダロウ?
それをすぐに理解出来なかった。
「…ははっ…やだなぁ明希、恭夜だよ。神道恭夜。」
「茜…アンタまだ寝ぼけてるんじゃない?ウチのクラスには神道なんて生徒いないよ。」
冗談…だよね……
ほら、昨日まで一緒にいたじゃない!
「そんなこと言われても……そこの名簿見てみなよ。」
明希に言われクラス全員の名前が書かれている名簿を見る。
…佐藤…篠原…白井………鈴木…
神道という名前は消え去っていた…
「ほら。茜、早く起きなよ♪」
「な、何で…みんなは知らない?」
クラスの友達に聞いてみたが、誰一人として恭夜のことを覚えている者はいなかった。
「茜…本当に大丈夫?風邪とかだったら、保健室行った方がいいよ?」
何で…誰も覚えてないの?
半年も一緒にいたじゃない。
だが、明希やクラスメイトの表情を見る限りではこれがドッキリなどではないことが分かる。
いや、むしろ明希達による質の悪いドッキリであって欲しかった…