浮きなさい-1
少し涙目になった私はベンチから起き上がった。
筒状ロケットが二つ付いたネックレスを手渡すと、彩乃はそのうちの一つを開いて今抜いたばかりの私の…。
「ぜ、全部入れる気?」
「はい。一本も捨てたくないんです。」
「分かるけど…ていうか、すごく嬉しいんだけど、物理的にムリでしょ。」
「沙楽先輩はそこに入れた残りはどうしたんですか?」
「…持ってるよ。小さなビニールのパウチに入れて。」
「ほらあ、そうじゃないですか。」
「うん。」
「あの、そのパウチ、余分に持ってたり…」
「あるわよ。」
一つ渡してあげた。
「ありがとうございます。」
彩乃はほっとしたように残りを入れ、ポーチにしまった。
「さあ、これで準備は出来たわけだけど。」
「ええ。」
「今ならまだ止めれるよ。そのネックレスを返してくれればそれで終わる。」
「止めるわけないじゃないですか!」
可愛いらしいつぶらな瞳で睨んできた。真剣さがひしひしと伝わってくる。
「そう?そのネックレスを自分の首に掛けることの意味、分かってるわよね。そして、その後ここで二人が何を行うのかも。」
彩乃の唇の端がピクリと動いた。
「わ、分かってます…けど。ここで、ですか?この後いきなり、こ、ここでですか?」
私は彼女の目を真っ直ぐに見つめながら大きくゆっくり頷いた。彩乃は視線を外さなかった。
ふぅ、っと一つ息をついてから、彩乃はネックレスの両端を震える指先で摘まんで自分の首の後ろに回し、カチリ、とロックを掛けた。
見つめ合った。歩み寄った。顔を近づけ…。
「さあ、泳ぎましょう!」
「え…。」
彩乃はきょとんとしている。
「あら、何をすると思ったの?二人で。」
「え?あー、あのぉ、えっと…」
彼女の顔は分かりやすくひきつっている。
「水泳部の伝統だからね。することは決まってるじゃない。そのために水着で待ち合わせたんだし。」
「あ、ああ、そうですね、そう…ですよね、えへへへ、へ…。」
真っ赤になっている彩乃の手を掴んで引っ張り、プールへ突き落した。
「わ!っぷぅ…」
ドッボーン。
「あはは!」
チャポン。
私は最小限の水しぶきしかあげずに綺麗に飛び込んだ。
「ぷはっ。ズルいですよ、私を突き落としておいて自分だけかっこよく入水するなんて。」
「ふふ。プールへの入り方が分からなかったらいけないと思ってね、入れてあげたのよ。」
「分かりますよ、もう。みっちり教えてくれたじゃないですか。」
「そうだったわね。じゃ、潜水も楽勝?もう怖くない?」
「もちろんですよ。」
彩乃はスルリと水面下に沈んだ。私も後を追った。
水中で向き合い、肩を掴んで引き寄せた。目を丸くしている彩乃に顔を近づけ、唇を合わせた。
「ゴブゥ…」
溺れかけた彩乃が慌てて浮上した。
「ぷはっ。水中でですか!?」
「そう、水中で、よ。」
そう言ってもう一度潜水すると、彩乃も降りてきた。唇を合わせたが、彼女はもう驚かない。
柔らかい唇の隙間から舌を入れた。すぐに応じてきた。激しく舌を絡め合いながら、私は彩乃の水着の肩に手を掛け、左右に広げて下ろした。
水中に差し込む仄暗い月明りの中で、彩乃の白い乳房が揺れた。私は左手で右の膨らみを撫でまわしながら左の膨らみに頬ずりし、先端を口に含んで強く吸った。
ゴボ…。
彩乃の口から少しだけ空気が漏れて、揺れながら水面に上がっていった。
口で乳首を吸い続けたまま、両手で水着を掴み直してさらにズリ下げた。ヘソが見えたあたりで、彼女は私の手を掴んで止めた。心を決めたとはいってもやはり恥ずかしいのだろう、そこを見られてしまうのは。でも、私は容赦はしない。口に含んでいる乳首を軽く噛んだ。
ゴボォ…。
彩乃はさっきよりたくさん息を漏らし、手の力が緩んだ。そのスキを逃さず、私は彼女の水着を一気に足首まで引き摺り下ろした。