勇気色の空-1
修学旅行.....今まで仲良くして来た友達と最高の思い出をつくる最高のイベント。....
オレの名前は竜崎、ごくフツーの中学生だ。今日は修学旅行だ。今まで仲良くしてきた友達に最高の思い出を作ってあげたい、そう思いながらバスに乗り込んだ。
最初の目的地は遠い...山の中の旅館だ。今日はなにもせずに目的地につき、一泊するらしい。でもクラス全体が仲のいいオレ達は、バスにずっと乗っていても退屈することはない。
目的地まで6時間、ついたころには美しい夕焼けが空を真っ赤に染めていた。いや、それより驚いたのはこの大自然だ。見渡す限りの木、ガラスのように透き通っている川、そして、美味しい空気。都会育ちのオレ達にとって、この大自然はあまりにも眩しかった。
「いらっしゃい」旅館の主がログハウスからでてきた。60歳くらいのおばあさんだ。「私はテルといいます、今日は、楽しんでいって下さいね」おばあさんは笑顔で言った。
日もくれて、テルさんが作ってくれたカレーライスを食べ終えたあと、自由行動が始まった。オレは仲のいい友達とフロントのソファーでくつろいでいた。
その時、なぜか目にとまった。鎧武者の模型が置いてある。刀も持っている。
「見ろよこれ」笑いながら鎧武者を触りまくっていた。
楽しいひと時も過ぎ、オレ達は部屋に戻った。部屋に居るのは、オレと菅井、大沢の三人だ。消灯時間。オレ達は電気を消した。暗闇の中だったが三人でいろんなことを語っていた。
ギシッ ギシッ 「誰か来る」
ガチャ!副担任の山本だ。かなり厳しい先生で、筋肉モリモリのマッチョだ。
「まだ、起きてたのか!次来た時起きてたら説教だ」そう言って、山本は部屋を出た、逆らうわけにもいかずオレ達は寝た。
しかしオレはなぜか寝ることができないかった。菅井と大沢は爆睡していた。暇だったので携帯を使ってゲームをしていた。
カシャッ カシャッ カシャッ「誰か来る!」いや、間違いなく山本だ。オレは携帯を閉じ、目も閉じた。
「ガチャ」................「バタン」カシャッカシャッ
オレは目を開けた。どーやら寝ていると思ったらしい。
あまりにも暇だったので、部屋からでて探検することにした。フロントについた。「ん!」さっきまであったはずの鎧武者がない......「キャー」女子の部屋がある二階から悲鳴が聞こえた。大急ぎで現場に向かった。
ドアを開けたると、女子の死体が三体、転がっていた。そして部屋のほとんどが血で真っ赤に染まっていた。死体は刃物で切られている。オレは先生に知らせるため、部屋を出て廊下にでたその時だった。
カシャッカシャッカシャッ
山本が二回目に来た時の音がした。「先生!」そう叫んだが反応がない、暗闇の廊下から姿をあらわしたのは、あの鎧武者だった。目を疑った。鎧がなぜ動いている?鎧武者は右手には刀を、そして左手には副担任、山本の首を持っている。
足の震えが止まらない、じゃあさっきオレの部屋に来たのは.....いや余計なことを考えている暇はない!すぐに鎧武者に背を向け、階段を走りながら降りた。フロントにつき、ログハウスから出ようとした。いや待て!菅井と大沢は生きている!すぐに部屋に向かい、ドアを開けると二人を叩き起こした。
「逃げろ!!!」
二人が目を覚ました時にはもう鎧武者は開いたドアの前に立っていた。二人は鎧武者と左手の山本の首を見て、全てを悟った。オレ達はドアとは反対側の窓から外に出た。