宴 〜契約〜-1
眩しい朝の日差しで、胤真は目を覚ました。
「ん……」
隣で智佳が呻き、もぞもぞと寝相を変える。
ちょうど、顔がこちらへ向くように。
太陽に照らされ、眩しく光る華奢な肩と鎖骨。
ほっそりした首の上に乗る、小作りな卵型の顔。
指や舌を這わせるとまさしく剥きたてつるぷるの茹で卵のようで、楽しくてつい何度も味わってしまう肌。
健康的なチェリーピンクの唇が僅かに開き、真珠色の歯が覗いていた。
「っ……!」
思わず、胤真は呻く。
昨夜はイキ過ぎて失神する程に激しく智佳を責め抜いたというのに、寝顔を見ていたら股間の欲棒がムクムクと頭をもたげて来たのだ。
「……俺は馬鹿か」
思わずそう呟き、胤真は自制するように努める。
が、しかし。
「か……ずま……」
寝言で名前を呼ばれ、胤真はついに我慢しきれなくなって智佳の上に覆い被さった。
唇をついばみながら、乳首を指でつまんでみる。
寝ていても、愛撫されたのが分かるのだろうか。
智佳はさらに唇を開き、舌を胤真へ預ける。
乳首を指で扱いてしこり立たせながら、胤真は唇を吸い始めた。
ちゅ、ちゅぷ、れるるっ、ちゅううううっ
唾液を飲まされ、智佳は眉間に皺を寄せる。
それでもきちんと唾液を嚥下している辺り、実は目を覚ましているのではないかと思わせた。
「ん……」
呻いた智佳が、ゆっくりと目を開いた。
「はふはっ!?」
起きた途端に目の前数センチの距離に胤真の顔を認め、智佳は驚きのあまり硬直する。
「やっ!何、してるのっ……!?」
一瞬唇が離れると、すかさず智佳は抗議した。
「朝から我慢できずに襲ってるんだ」
明快に答え、胤真は智佳の脇腹を撫でる。
「あっ!」
性感帯を攻められ、智佳は鋭い声を上げた。
「やめっ……!あ、ふあああんっ!」
何度も脇腹を撫でられ、智佳はとろ火と化していた昨夜の交わりの名残へあっという間に火が着いてしまう。
「ほら、もう嫌がってないだろ?」
胤真は、指で秘唇を割り広げた。
指先に絡み付いてくるトロトロとした液体を、胤真は秘核へと塗り込める。
「いッ……あ、駄目えっ!!」
智佳の膝が、がくがくと震えた。
「駄目じゃないだろ?」
胤真は顔を傾け、耳たぶをついばむ。
「き、気持ち、良すぎてっ……あ、駄目!出ちゃうっ!」
胤真の指が蜜壺の中へ入り込み、そこを擦り始めた。
「いいぞ。潮を吹きたいんだろ?」
その態度に胤真は喜び、いっそう激しく擦り上げる。
「やっ違っ……あ」
びゅうっ!ぶしゅっ、ぴゅうううっ
智佳は、呆気なく潮を吹いてしまった。
「は、あ……」
ニ、三度体を痙攣させた後、智佳は体の力を抜く。
「……シーツ、汚しちゃった……」
「俺がそうさせたんだから、気にするな。それより……」
胤真は、ちらっと悩ましげに智佳を見る。
「あ……うん。来て、胤真」
智佳は、胤真が挿入しやすい体勢を取った。
ずぬっ!!
「っく……!」
途端に体を貫かれ、智佳はその熱さと硬さに驚く。
昨夜はあれだけ激しい爛れた時間を過ごしたというのに、胤真自身はその消耗など微塵も感じさせないのだ。
「あ……!やだ、駄目え!!」
ぐっと迫り出した亀頭に快楽のスポットを刺激され、智佳は悶える。
「駄目じゃないだろ?」
ぐうっと奥まで入り込まれ、智佳は歯を食いしばった。
「っん……き、気も、気持ち、良いのッ!」
快楽で蕩け切った智佳の表情に、胤真は満足する。
この顔を見たいがために、智佳と繋がる時は顔が良く見える体位ばかり選択してしまうのが、欠点というか難点というか……。
「あ、あ、あ……!!」
早くも絶頂の痙攣を始めた智佳をイカせるべく、胤真は快楽に耐えて懸命に腰を振る。
と、その時。
内線電話が鳴った。
「何だ、こんな時間に」
腰を振るのを止め、胤真は呟く。
「か、胤真っ……それより、ねえ……!」
イキたくてもイケない中途半端な所で止められた智佳は、切ない声でおねだりした。
「ちょっと待ってろ」
ずりゅんっ
逞しい勃起を引き抜き、胤真は内線電話に出る。
「胤真だ」
『… ……』
「え?」
『… ……』
「俺じゃなくて、智佳を?」
『… ……』
「分かった。そうだな……あと二時間は猶予をくれ。ああ、そうだ」
内線電話を切り、胤真は智佳を見た。
「……何をやってる」
思わず、胤真は苦笑する。
胤真を受け入れたせいでぽっかりと開いた秘穴からたらたらと蜜をこぼしながら、智佳は指で自分を慰めていた。