別荘での戦い-9
「……。」
「………。」
ピリピリと睨み合う両者。
「何すんだ?…お前にはもう関係だろ。」
「関係ない?……いいや、大有りさ、……だって巴は、僕の。」
「ざっけんなぁっ!」
「っ!!」
怒号と共に私と蓮の腕を振り払う。
「お前はもうコイツとは別れた、それを未練がましくこんな所に来るなんて頭可笑しいだろうっ!」
「未練がましくなんてない!彼女との別れは間違いだった、そしてそれは彼女も同じ気持ちだった。」
私は…。
「…へっ、だったら何だ?またやり直そうってのか、それで本当に良いのか?お前みたいな能天気野郎じゃー彼女を幸せには出来ない、違うか!?」
「……確かに僕は彼女を受け止められなかった、だから僕には彼女の彼氏でいる資格何てない。」
「そうだろ!?けど俺はそんな真似はしない、そりゃーさっきは悪かったと思ってる、けどもうあんな真似はしない!努力する。」
このまま黒崎を危険なDV男と考えるのは簡単だろう、けど場合によってはあんなのDVでも何でもない、大体私がそんな原因を作った訳だし。
故にあんな態度を取れば誰だって激怒するし、黒崎がさっき蓮の事も受け入れようとした事は紛れもない本心だ。
「恋人を困らせる何て彼氏として、いや人として失格じゃないの?」
「何を!別に俺は。」
「あそこで僕が止めに入らなきゃ殴ってたろ!このDV男!」
「なっ!DV?」
その言葉が相当効いたみたいに見える。
「…るっさい、……るさいるさいうるさぁーーいっ!」
「っ!!」
「お前に何が分かる!?一度は彼女を受け止めきれず別れ話をさせておいてっ!」
「そうだよ!だからもう今度は!」
「黙れっ!何度だって言う!お前はもう俺の恋人じゃねーんだよっえぇ!?」
…あれ、今妙な日本語が。
「とにかくもう出てけ!受け入れよう思ったのに全てが台無しだ!バス停でお前が現れてから全てが!」
そう怒号を吐き散らし、彼を強引に部屋から追い出そうとし、それに対し連も激しく抵抗し、揉み合いとなり。
「うっ!」
追い出そうとした黒崎が蓮に突き飛ばされ。
「…何、しやがる。」
案の定彼は勢いよく立ち上がり蓮に殴りかかり。
「あ、あぁ…ちょ!」
事態は最悪の光景と化し、二人は激しく殴りっ子し合い。
「出てけ!出てけこのお邪魔虫が!」
「そっちこそ、いい加減彼女の気持ちに」
「もうやめてぇっ!!」
「っ!!」
もう嫌…こんなの。
「なん、で、こんな…事に…。」
「巴…。」
「折角、楽しい別荘に、なると…思った、のに。」
「……。」
耐えに耐えきれずこの場を勢いよく走り去り。
「巴っ!!」
私は…私はぁっ!!