中学生デート5(母子乱入)-6
「友だちとお茶をする約束で、翔を、あっ、この子を実家に連れて行く途中で、あっ、実家はこの直ぐ近くで、この子はおばあちゃん子で、お茶のときは、いつも預かって貰ってます」
舞い上がった弥生はシドロモドロに答えた。
「そうなの、お友だちと」
真奈美が残念そうにすると、弥生は真奈美の股間に夢中の翔を気にしながら、ヒソヒソと返した。
「友だちは断れます」
「そうなの、よかったわ。これあたしの番号よ。後でワンギリしてくれたら、折り返して場所を教えるから」
真奈美は翔の注意を反らすために、指で割れ目を開きながら、番号を書いた紙を弥生に渡した。
「じゃあね、翔くんもバイバイ」
「うん、バイバイ、まんこ丸出しのおばちゃん」
別れを告げた真奈美は、真希のあとを追って小走りに駈け出した。
「ちょっと時間がかかったけど、間に合うかしら」
もちろん、真希が絶頂を迎えるまでに間に合うかが気掛かりだった。
「今度もトイレだと思うけど」
それを気にしながらトイレの前に着くと、案の定、潤も心配顔で待っていた。さすがに潤はトイレの中まで入れない。
「真奈美さん、早く」
「了解」
急かされた真奈美がトイレの扉を開けたが、どうしてなのか、中に入らないまま直ぐに締めてしまった。
「どうしたんですか?」
心配顔の潤が聞いたが、予想に反して真奈美は笑顔だった。
「ラッキーよ。混んでるから個室に入ってない。もじもじしながら、まだ並んでるのよ」
ショッピングモールのある駅は、途中の2駅よりも大きな駅だった。その分、人の出入りも多かった。
「うふふ、また追い出したろ」
【早口真奈美ちゃん】の役作りのため、スマートフォンを耳に当てた真奈美は、捲し立てるように喋り始めた。
「あっ、智子、あたしたあたし!今度もトイレの前からやで」
個室の順番を待っていた真希は、お馴染みの早口の声にドキリとした。
(ど、どうして…)
「【どうして】て、さっきのノーパンの子、また見つけたんや。それを追っかけてきてんけど、またトイレの前で見失のうたわ」
真希の心を読んだのかの如く、早口で捲し立てる声。真希は驚愕の表情で、声が聞こえてくるトイレの扉を凝視した。
(近い!か、隠れないと!)
しかし、個室はどこも閉まったままで、まだ開く気配はなかった。慌てた真希が、掃除道具入れの扉の取っ手を握った途端、真奈美が助け船を出した。
「この先の本屋が妖しいから先にそっち見てくるわ…トイレはそのあとやな…本屋におれへんかったら、そうやなあ、1、2分で戻って来て、次はトイレ見てみるわ」
トイレの前でそう言い残すと、早口真奈美ちゃんは潤に手を振り、一旦身を隠すために、本屋の方へ小走りに駈ていった。
一拍置いて、トイレの扉がそうっと開き、中から真希が心配顔を覗かせた。
「あっ、潤くん、今変な女が居なかった?」
「えっ?オレは今来たばかりだから気づかなかったけど、変な女ってどんな女?」
「み、見なかったらいいの。早く行きましょ。映画が始まっちゃう」
真希は本屋の方をチラチラ気にしながら、潤を急かした。