日常と非日常の境界-9
本当、あたしはいつも佳菜子に気付かされっぱなしだ。
「佳菜子」
あの日から言おうと思っていたことを伝える時。
「なっ、何よ。急に泣いたりして、真面目な顔しちゃったりして」
鼓動が煩い。
他のことなんて何も考えられない。
「あたし…加奈子が好き」
あたしの顔から佳菜子の顔まで寸で五分の距離。
お互いの熱が入った吐息が感じられ、あたしは佳菜子の大きな瞳に魅了され。
「馬鹿。あたしも好きよ。ずっとずっと好きなんだから…」
その間も二人の距離は詰まっていく。
そして、気がついたときには、確かに佳菜子の唇の柔らかい感触があった。
あたしの無言の返事に加奈子は口付けで唇を紡ぐ。
「むぅ…んっふぅ」
その唇から佳菜子の体温が伝わり、あたしは彼女に身体を預ける。
佳菜子の腕があたしの華奢な身体を抱き締めて、唇に侵入を請うように舌で付く。
「っふぅ…んちゅっ。はっ。んぅ」
絡み合う二人の舌。
佳菜子がこんなにも熱っぽく映る。
「んっ…ちゅっ…ちゅっ…んっふぅう」
始めは舌の先端だけをちろちろと舐めるくらいだったのに、だんだんそれは深いものになっていく。