日常と非日常の境界-8
「やだぁ。智子。冗談だから。(冗談じゃないけど)そんな恐い顔しないで。飲み物、紅茶でいい?」
いつのまにか、そんな無愛想な顔になっていたみたいで、あたしは佳菜子の言葉ではっとした。
「あっ。うん。」
「ふふっ。やだぁ。智子の変顔おかしい。」
「あははは。佳菜子だって人の事…」
あたしたちはアルバムの写真を見ながら三年間の思い出に耽っていた。
三年間は長いようで短かった。
けど、あたしは佳菜子との思い出もたくさんできた。
「これ、一年の遠足だ」
「あの時、せっかく遊園地に行ったのにあたしたち話していただけでほとんど終わっちゃったよね。」
「そうそう。帰りのバスはみんな爆睡していたっけ。」
あたしたちは一つ一つの思い出を確かめるように、写真に見入っていた。
そんな時、二人の視線がアルバムの最後のページにおちる。
「あっ」
それは、雪舞う丘の上。
空には星が広がるあの景色。
「ごめんね…」
あたしの口から出たのは謝罪の言葉。
佳菜子は訳もわからなそうにただ立ち尽くしていた。
「えっ。なんで?っていうか、智子泣いているの?」
あたしは佳菜子に言われてから気付くこの頬を伝うものに。