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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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痴態-1

 扉の向こうのリビングからソファが軋む音が聞こえている。
 その音に混じって女性の喘ぎ声。
 ふたつの音と声はリズミカルに、ときに速くときに遅く、もうかれこれ三十分ほど続いている。

 いわゆる行為中の音である。
 行為をしている女性は私の妻ゆきで、相手の男は私の友人Z。
 一枚の扉を隔てたほんの数メートル先で、私の妻が私以外の男のペニスを受け入れている。

 パンパンパンパンと肉のぶつかり合う派手な音が聞こえる一方で、妻の喘ぎ声は少しこもって聞こえる。
 後ろから犯され、ソファかクッションに顔を押し付けられているのだろうか。
 私の大好きな、妻のいやらしい後ろ姿が視姦されているのだと思うと居ても立っても居られない。

 今でも十分スリムで通る体型に、三十八歳を迎えてようやく人妻らしくほんのり肉づいてきたゆきの下半身は、匂い立つような熟した色気を発しているのだ。
 四つん這いの後ろ姿は、きゅっと締まった腰回りに少しミスマッチなむちむちの尻が一望に見渡せて、むしゃぶりつきたくなる。
 ゆき自身は自慢の小尻が「ちょっと大きくなってきちゃった」と不満そうだが、男から見るとこのくらいがちょうどよい。

 Zもそんなゆきのバックスタイルを思う存分堪能しているのだろう。
 何度も何度もゆきの尻に自分の腰を打ち付ける音。
 尻を高く突き出させ腰をがっちりとホールドし、他人の妻の快楽の声を聞きながら征服感を味わっているに違いない。
 ぱっくり開いた尻たぶの中心に咲く薄茶色の窄まり。普通に生活していれば決して他人に見られることのないその場所も、知り合ったばかりの男の前に晒されている。

 胸をかきむしられるような息苦しい音がようやく途切れて静寂が訪れた。
 ほっと安心――はしない。
 またすぐ妻の喘ぎ声が聞こえてくるのはもうわかっている。
 ちょっとした小休止か体位を変えているだけだ。
 そんなことをもう何度も繰り返している。
 行為中の音も苦しいが、静寂も何をしているのかわからないだけに想像がとめどなく溢れて辛い。

 自分以外の男とキスしている妻。
 促されて男の上に乗り、脚を開いて跨っている妻。
 仰向けの男の下半身から突き出ている棒に自分から手を添え、ゆっくりと腰を落としていく妻。
 あるいはZは四つん這いの妻の中に入ったまま小休止しているだけという可能性もある。
 妻が快感を求めて自分で尻を前後に動かしたりしなければいいが。
 いろいろな想像が次から次へと湧いて出てくる。

 Zとのセックスは私自身が望み、ゆきにお願いしたことなのに、いざ直面すると心がかき乱される。
 早く終わってほしい。終わって溢れでる妄想を止めてくれ。
 恋人時代から十五年間、三十八歳になる今でも変わらない清楚で屈託のない笑顔のゆきと、今扉の向こうにいるゆきが違いすぎる。
 そして困ったことにそのギャップが大きければ大きいほど私のペニスは硬くなる。

 再び妻の喘ぎ声が聞こえてきた。
 やはりまだ続くのか。
 今度はゆったりとしたリズムで開放的な喘ぎ声だ。
 打ち付けるような音はしなくなりニチャニチャと股間を擦り付けるような音。
 ゆきがZの上に乗り腰を大きく前後にグラインドさせているのだろう。
 動かない男の上で快楽のためだけに腰を振り続ける、女にとってもっともはしたない行為。
 それを私の妻が夫以外の男の上でやっている。
 数時間前Zを自宅に迎え、額にうっすら汗を浮かべながら甲斐甲斐しく料理を準備していたゆき。
 酒でほんのり頬を赤くして控えめな笑顔で会話していたゆき。
 そのゆきと、いま扉の向こうにいるゆきは本当に同一人物なのか。

 キスの音。
 上体を前に倒してZに自らキスを求め舌を絡めているようだ。
 男の顔に両手を添えキスをしながら、下半身だけをクイクイと前後させるのがゆきの好きな騎乗位だ。
 普段清楚なゆきがこれをすると、とてもいやらしくとても切ない。
 前に聞いたら自分だけが動いていると寂しくなってしまうのだそうだ。
 男に自分が大切にされていることを確かめたくなってキスしてしまうと言っていた。
 Zに同じことをするゆき。
 夫ではない男の愛を確かめている。

 やがてまた上体を起こし腰のグラインドを早くしていくゆき。
 下半身を激しく擦り合わせる音。
 喘ぎ声も遠慮なく淫らに変質していく。
 小さめサイズの私とのセックスでは決して上げないような鋭い喘ぎ声。
 ときにのけぞるように腰を前に突き出し、ときに前傾して尻を突き出す。
 夫からは得られない快感を得ようと女性器やクリトリスをいろいろな角度で擦り付けるはしたない行為に没頭している。
 激しい行為をZに指摘されたのか恥ずかしそうに笑ってまたキスの音。
 こういうセックスの合間の素に戻る瞬間、仲の良さそうな照れ笑いが一番堪える。

 ゆきとZのセックスがクライマックスを迎える。
 一切の遠慮がなくなり切羽詰まったゆきの喘ぎ声。
 肉と肉のぶつかり合う生々しい音。
 私たち夫婦のセックスで発生する音とまったく違う。
 十五年間私がしてきたセックスが恥ずかしくなり消えてしまいたい気分になる。
 小さくて早漏であることは自覚していたつもりだが、ここまで違うとは。
「比べたりなんかしないよ」と笑ってくれたゆきだが、これでは違いを意識するなというほうが無理だ。
 一人の女としての自分を荒々しく求めるZの息遣いを耳元で聞かされて、夫のセックスがいかに淡白か全身で感じていることだろう。
 次に私のペニスを股間に受け入れたとき何を思うだろうか。
 粗末な陰茎を抜き挿しされたときどんな喘ぎ声をあげるのだろうか。


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