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縺れ合った赤い糸
【幼馴染 官能小説】

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二人の覚悟-1


アパートの駐車場に着くと美穂は車から降りる事なく寂しげな顔で俺を見ていた。

「心配するな。親父とお袋さんに話しはついてる。行くぞ。」

俺が先に車を降りると美穂は慌てて車を降り、俺の腕を掴んだ。

「ただいま…。」

「み…美穂…。お帰り。健二君は…。」

美穂を先に部屋に入れると親父さんとお袋さんが玄関で出迎え、俺の姿を探した。

「ただいま。約束通り一緒に帰って来ました。」

「み…美穂ー!美穂ー!良かったね…!良かったね…!美穂ー!」

お袋さんは泣きじゃくりながら状況が分からない美穂を抱き寄せ、親父さんも泣きながら二人を抱きしめていた。

『必ず一緒に帰ります。そして美穂を幸せにします。それまで待ってて下さい。』

美穂が着替えている間に、俺の覚悟を親父さんとお袋さんに伝え、俺達の帰りを待ってて貰った。

それから四人でお袋さんが買ってきた寿司や惣菜で晩御飯を食べ、これからの事を話した。

「明日から俺のアパートで美穂と一緒に暮らします。仕事も続けられる様にします。落ち着いたら一度地元に帰ります。」

「美穂の事を…。宜しくお願いします。」

親父さんとお袋さんは深々と頭を下げると、美穂も深々と頭を下げた。

「これから二人で乗り越えていかんといけん事いろいろあると思う。私達に出来る事は何でもさせてくれ。」

親父さんとお袋さんは俺達に温かい言葉と笑顔を残し帰って行った。

それから美穂はお風呂を沸かし、二人で肩を寄せ合いテレビを見ていると、美穂は可愛い寝息をたて深い眠りに落ちた。

一人風呂を済ませベッドを見ると美穂はひどい汗をかきうなされていた。

「美穂…。大丈夫か…。」

そっとタオルで額の汗を拭き、それを繰り返し、気付けば外はうっすらと明るくなり俺は深い眠りに落ちた。

頭を掻きむしられる感覚に目を覚ますと、美穂の手が何かを探す様に動いていた。

「健二…。た…助けて…。健二…。」

美穂は悪夢の中でもがきながら俺の名前を呼び続けていた。

再び目を覚ますと美穂は台所に立ち朝ご飯の支度をしていた。

「会社には鼻が痛いゆうて有休貰っとる。午前中に引っ越しや。昼から病院に行ってそれから買い物や。忙しい一日やけど、無理するなよ。」

朝ご飯を食べながら予定を話すと、美穂は目を潤ませながら頷いた。

引っ越しは不要な物は業者で処分して貰い、あっと言う間に片付いた。

病院も院長先生は俺達の事を祝福し、美穂が働く事を歓迎してくれた。

二人で買い物に行くと美穂は俺の腕を掴み、離れる事なく笑顔を見せた。

晩御飯はすき焼きを食べ、別々に風呂を済ませ肩を寄せ合い、お互いの温もりを感じ合った。

「美穂は俺のベッドで寝るんや!俺はお前の布団で寝るから。」

「うん。健二の匂いがする…。健二…ごめんね…。」

美穂自身も悪夢の中でもがく自分を知っていて、まだ肌を寄せ合い寝る事が怖いと言っていた。俺達はせめてお互いの匂いに包まれるようにと布団を交換して寝る事にした。

翌日からお互い仕事を頑張り、帰りは待ち合わせをして買い物。俺も食事の支度を手伝い、お互いに幸せを感じ合っていた。

ただ風呂と布団は別々だったが、そんな生活も三ヶ月が過ぎた頃から美穂に少しづつ変化が見え始めた。

「最近ね何だかぐっすり寝れるようになったの。体重も増えて来たのよ。病院の先生も薬の回数減らすって。」

美穂は嬉しそうに俺にそう話した。

最近は悪夢にうなされて汗をかく夜が少なくなり、可愛い寝顔を見る夜が増えて来た事はわかっていたが、美穂が少しでも回復している事に俺は喜びを感じ涙が溢れた。

俺達の本当の幸せは、少しづつだが前に進み始めたと俺は実感した。


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