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縺れ合った赤い糸
【幼馴染 官能小説】

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美穂の過去-1


「健二君…。話しは後だ。美穂を部屋に…。」

親父さんの言葉に気を失った美穂を抱え上げ、奥の部屋のベッドの上に寝かせた。

ベッドの横のテーブルには様々に薬があり、改めて美穂の傷の深さを思い知らされた。

「夕べ美穂から電話があって…。病院辞めてこの町から出たいって…。ここ何年間平穏だったのに…。心配になってお父さんと来てみたの…。」

「そうでしたか…。いろいろあって親父さんもお袋さんも…。」

お袋さんの言葉に俺は言葉を詰まらせた。

時折身体を痙攣させうめき声をあげる美穂を、お袋さんは側に寄り添い涙を流していた。

「美穂とはどこで?」

「後輩が入院してる病院に見舞いに行った時に、偶然に…。」

「そうでしたか。何かに引き寄せられたんだな。美穂が一番逢いたかった人、そして一番逢いたくなかった人…。健二君…。」

親父さんも目に涙を溜め美穂の手を握った。

美穂が落ち着き寝息をたて始めた時、親父さんとお袋さんが美穂の事を、言葉を詰まらせながら俺に聞かせてくれた。

高校時代には晩御飯の時には必ずその日の俺との事を楽しそうに話していた事。

篤が告白した時には俺にフラれたと涙を流していた事。

篤と付き合い始めても時折寂しそうな顔を見せていた事。

病院に勤めながら看護学校に通い始め、最初の一年は時々家にも顔を出していたが、それからは自分達が掛ける電話で近況を話すだけだった事。

そして一年後、篤の両親からの電話で篤の死を聞かされ美穂を迎えに行ったと。

アパートには荒らされた跡があり、美穂の姿は無く、親父さんは警察に相談した。

警察は篤の交遊関係や状況から事件性ありと捜査が行なわれ、美穂は一ヶ月後に保護され、美穂を拉致した犯人の三人も逮捕されたと。

保護された美穂は痩せこけ、性的暴行を受け続けた跡や薬物による精神の崩壊で、保護した女性刑事が目を背けるほど悲惨な姿だったと。

親父さんとお袋さんは美穂を遠く離れた病院に入院させ、退院までは半年近く掛かり、精神的な治療は療養所で一年半近く入院したと。

そして療養所の院長のケアにより美穂は再び看護学校に通い、資格を取得したと。

その院長先生の紹介で今の病院を紹介して貰い、それからは社会復帰が出来たと。


俺は溢れ落ちる涙を拭いながら二人の前で声を出して泣いた。親父さんもお袋さんも泣いていた。

「激しい精神的なストレスがあれば発作は起こすと言われてて…。定期的に病院に通わせ薬も処方して貰い、落ち着いていたんだけど…。」

親父さんの言葉に俺が美穂の精神的ストレスになった事を悟った。

「美穂の気持ちを察してもらえるかな?」

親父さんは声を震わせそう言うと、布団の中から美穂の啜り泣く声が聞こえた。

「わかりました。でも…美穂とゆっくり話しをさせて下さい。お願いします。」

「け…健二君…。美穂はね…。もう…。」

お袋さんは泣きながら何かを言おうとしたがその先の言葉は出なかった。

「お母さんいいよ、私がすべて話すから…。なにもかも話すから…。」

美穂はゆっくりとベッドから起き上がり縁に座りお袋さんの手を握った。

「健二、二人っきりで話そう。昨日行った公園に連れて行って。お父さん、お母さんゆっくりでいいから荷物お願い。」

美穂は隣の部屋に入り、服を着替えると俺の手を引き二人でアパートを出た。

「全部聞いたでしょ!健二には知られたくなかったけどね…。じゃあ先に健二の話し聞かせてよ。」

美穂は何か吹っ切れたのか笑顔で俺に問い掛けて来た。


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