大晦日の夜に-1
はあ。
どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。
喧嘩の後はいつも、何か苦いものを無理やり飲み込まされたような気持ちになる。
カーッと頭に血が上って、思ってもないような言葉を相手にぶつけてしまい、ひとりになってから死にたくなるほど後悔する。
同じことばかり何度も繰り返してきたけれど、今回は特に酷かった。
許してもらえるかなあ。
今度こそ、もう本当にダメかもしれない。
河原木美咲(かわらぎ みさき)は混雑している新幹線の改札口横でソワソワしながら、発着時刻が表示された電光掲示板とホームから降りてくる人の流れを見つめていた。