未知華14歳、おもらしが見つかって…-1
「友達の孫の勉強を見てもらいたいのよ」
大学の夏休みを利用して帰省している僕に、ばあちゃんは言った。子供の頃から世話になっているばあちゃんの頼みとあらばと、僕は二つ返事で引き受けた。
かくして、次の日から僕の部屋に女の子がやってくることになった。予定時刻の五分ほど前、
「こんにちは!」
肩に届くくらいの、真っ直ぐ伸びた艶やかな黒髪。前髪は左右に分けられ、耳にかかり後ろへと流れている。
太めの眉の下では、柔和な目がニッコリと細められている。
まあるい鼻、横に広い口は口角が上げられていて、何も施されていない唇からは八重歯が覗いていた。
学校の制服なのだろう、膝をすっぽり隠す濃紺のジャンパースカートの裾からは、白いブラウスの袖が出て、それよりもなお白い腕が伸びている。
赤を基調にキャラクターがプリントされたソックスをぴたっと合わせて、ぺこっとお辞儀をした少女は、130pあるかどうか、中学校三年生と聞いていたが、それよりもずっと幼い印象を持った。
「やあ、こんにちは」
「今日からよろしくおねがいします!」
こうして僕は彼女に勉強を教えることとなったのだが、彼女は、よく言えばおっとり、悪く言えばノロマだった。問題を解くのは勿論、勉強の用意をするのも遅く、行動と行動の間に、家族や友達のこと、学校の帰り道であったこと等、様々なおしゃべりが入る。その楽しげな彼女の顔を見ているのは嫌ではなかったが、終わらせる予定の三分の一も進まなかったのには閉口した。
このままでは面目が立たない。彼女が帰って行った後、僕はしばらく考えて、彼女のスピードアップを図る、面白い思いつきを得た。