眠れる魔獣-3
「それではトラウマ、とかいうやつですか?」
「その可能性が高いですね。でも、原因を絞り込む必要があるので、診察しましょう。」
「診察…?」
「ええ、直接拝見…えっと、診せていただいて、問題がないことを確認します。そこのカーテンの向こうでズボンとパンツを脱いで診察台に座って下さい。診察台は普通の椅子やベッドとは少し違いますが、看護師がお手伝いしますので大丈夫です。」
「え…。」
さすがに恥ずかしいか。だよね。若い男の子が、医者だとはいえ女にその部分を見られるわけだからね。
「いい?これは医療行為なの。何も考えないで、医師である私の指示に従って下さい。」
羞恥を忘れさせるために、私は少し強めの言い方をした。
「分かりました。」
おお。決意すれば迷わない。その潔さや良し!ますます気に入った。
彼はカーテンの向こうへと消えていった。微かな衣擦れの音がする。
「先生、お願いします。」
用意が出来たようだ。
私はカーテンを開き、彼が乗っている診察台の足元に回り込んだ。
この診察台は泌尿器科専用の特別なもので、全身の傾き、股関節と膝の角度や足の開き具合などを自在に変えられるようになっている。要するに、診察しやすいように股間を丸出しにさせるベッド。
「足、開きますね。力を抜いてラクにして下さい。」
「はい。」
私は足元のペダルを操作して彼の足を左右に開いていった。ウィーンという滑らかなモーター音を響かせながら菅野さんの足が
「…」
私は絶句した。
勃ってなくてこれだというのか!?コイツが目覚めたらいったい…。
私は本能的な恐怖を感じた。こんなモノを埋められたら…。
医師としては治療すべきだ。それは分かっている。しかし、こんな魔獣を野に放つことが果たして正義と言えるのだろうか。
…。
言える!だって見たいもん、この子のホンキのやつ。
私、頑張る。