あおいろ-1
青年は沸きあがり滾る悦びに、喘ぎそうになるのを必死に堪えた。
心では悦びの声をあげながら、射精への欲求を抑え込み平静を装う。
青年の両手が小さな肩に乗ると、恵莉は全く抵抗することなく従っていた。
『脹れている先っぽが亀頭、亀頭の後ろにある括れている所がカリって言うんだ。はっ、ふうぅぅ…… そこを唇と舌で…… ああぁぁ、ぃぃ、いいよ、めぐっ』
伝える言葉と共に、溜息に似た嗚咽が漏れる。
はじめての“手淫”から、二ヶ月…… 繰りかえされた試みは、確実に恵莉の練度を向上せていった。
正直、教え込む青年自身がその呑み込みの早さに驚かされていたのだ。
小さなピンク色、唇のリングがカクンカクンと往復する度に、ペニスがビクンビクンと痙攣する。
すると先端からトロトロと透明な淫汁が、狭い口中へと数滴注がれる。
それに反応したかのように、無垢な舌がチロチロと亀頭裏の脹らみを舐める。
『はあぁ、綺麗だ、恵莉。もっと、顔をよく見せて』
眼下に声を落としながら、右手で恵莉の髪を優しく撫でる。
「…… 」
その所作故言葉を発する事は叶わないが、見上げる大きな瞳がレンズ越しに数回瞬く。
『でも、お手々がお留守だよ』
再び、優しい声と手が黒髪を愛でる。
「…… 」
応えぬ代わりに右の手で作られたリングが上下に動くと、その度に小さな口端から涎に似た液体が垂れる。
陰嚢に添えられた左掌は、固くなった睾丸を優しく転がす。
夢にまで見た刺激に身をまかせ、青年は屈みこんだ姿勢の恵莉を見下ろす。
フリル付きブラウスの襟元は深く、鎖骨と付けはじめて間もないブラが垣間見える。
谷間とは呼べるものではないが、胸元の緩やかな膨らみが真上からの視線故に覗けてしまう。
青年の視線は胸元から更に下がり、片膝立ちで屈みこむ脚へと絡む。
ペニスへの執心から恵莉はそれと気づいてないが、スカート裾が乱れて蒼白い太腿が露になっている。
(蒼白い肌…… 蒼白い太腿…… そのつけ根には、蒼い蕾が息づいている)
人の目にさらされることのない内腿の白い肌は、しっとりと潤い肌理細かだ。
(その肌と奥深くにひっそり息づくスリットに、指が触れ、愛でるように撫でた)
指先に恵莉の温もりを想い起こすと同時に、手淫させた後のことが脳裏を過る。
二ヶ月前…… はじめての手淫で、ペニスを射精まで導いた恵莉は俯き気味であった。
「…… 」
無言の恵莉はいつの間にか口を閉じ、フルフルと細い首を揺らした。
『どうしたの? 恵莉』
「でも…… って、おにいちゃんが言った。でも…… 恋人になるには…… って」
そこはかとなく、不満げな雰囲気を漂わせる。
『おいで、恵莉。続きを教えてあげる』
折れそうに華奢な身体を引き寄せると、真っ赤な耳へと囁く。
『セックスって…… 知ってる? 』
「…… ぅん」
小さく三つ編みが揺れる。
『恋人同士はセックスをする…… でも、今の恵莉にはそれはまだ早くて…… 無理なことなんだ。それに無理をすれば、恵莉を傷つけてしまう。おにいちゃんは、恵莉を大切にしたい。だから…… 』
「だけど…… それじゃ、めぐりは恋人になれない…… っの?」
抱き寄せた華奢な身体から、じんわりと熱いものが伝わってくる。
『でもっ、他に方法が無い訳じゃないんだ』
「…… ほんとぅ?」
見上げた瞳は、濡れていた。
『うん、本当だよ。それはね…… 』