あおいろ-3
揉みほぐされたことのない胸元の微かな膨らみと、蜜壺と呼ぶにはほど遠い未熟すぎる蒼く固いスリット。
目前の少女に向ける想いは邪でありながら、ぶれることなく熱く、深いものであった。
青年が望むのは、悪戯の類やレイプではない。
無垢な身体に“よろこび”を刻みながら、硬い蕾が綻び、美しい花が咲いていく姿を見ていたいのだ。
抱かれることの恥ずかしさに頬を染め、貫かれる行為の恐れに身を震わせる少女。
それでもいつか、セックスの悦びに目覚めていく、その少女の乳房を揉みしだきながら蜜壺を弄び……カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン
カタカタッ カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン タン
カタカタカタカタカタカタ …… …… …… カタカタカタッ タンッ
カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン
タカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ カタカタカタカタタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ カタカタカタカタ タン
カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン
カタカタッ カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン タン
カタカタカタカタカタカタ …… …… …… カタカタカタッ タンッ
カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン
タカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ カタカタカタカタタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ カタカタカタカタ タン
カタカタカタカタカタッ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ タン ……
「ふうっ、今日はここまでっと…… それにしても、ちょっと悪ノリし過ぎ? それとも過激、エッチすぎるかな? 自叙伝…… っと言うより、ほぼ、官能小説よね。ふふっ」
軽い吐息と共に物語にシオリが挟まれると、薄いリップがひかれた唇からは誰に聞かせる訳でもない胸の内が零れる。
「それにしても、あの“本”をプレゼントされてから…… 色々なことを思い出し…… 思い浮かんでくる」
傍らには幼き頃、図書館で手にしたと思しき本がある。
些細な切っ掛けから、失われた記憶が戻りつつあった。
それでも幾つもの齟齬、整合性の無い思いに満ち溢れていたが。
もっともそれすら、何の確証もない自分自身の思い込み、現実と非現実が融合した産物に過ぎないのかもしれない。
「いけない! もう、こんな時間」
長いまつ毛に彩られた大きな瞳は、壁に掛けられた時計の短針の位置に驚きの色を映す。
慌ててノートパソコンをシャットダウンさせると、艶やかな黒髪を揺らし……
本来の意味合いはとうに薄れていたが、街は煌びやかな光に包まれ、行き交う人々もまた熱気を帯びている。
そこかしこの店先では大きな音楽がかかり、流行りの歌やらクリスマスソングや、それらしき雑音やらまでが渾然一体となり混沌にも似た渦を作り出していた。
イブの街が賑わうのはいつものことだ。
しかしそんな喧騒から離れた……
…… 一室で、少女の白く細い指先は静かにキーを打ち終えた。
それは…… 初めから足りないピースが存在するパズルのような…… 作業?
しかしそれでいて、勤しむ少女は何故か楽しそうにもみえた。
それは朧げに見え始めた自身の記憶を手繰り寄せる行為故なのか?
「でもっ…… どうして、わたし。自分のことなのに。名前を“めぐり”に? それもフルネームまで…… 逢沢恵莉って、誰? それに“おにいちゃん”が…… 何故かしら?」