みずいろ-3
『見てごらん、恵莉に握られてこんなに熱く、太く硬くなって…… ああっ、おちんちんを悦
ばせることが出来れば、恵莉は立派な大人さ。でも…… 』
恵莉の問いかけに応えながら、昂ぶりが抑えきれない。
『もうっ、もうイキそうだ! はああぁぁ、恵莉ぃぃぃ』
熱い吐息が青年の口から漏れると共に、
《ぶしゅっ、ぶしゅっ、ぶしゅっ》
野太いペニスが恵利の掌から外れると、悦びの咆哮を三度繰りかえす。
白く濁った想いを恵莉に飛び散らせないよう、なんとかペニス先端の向きを変え青年は安堵する。
突然自分の掌から外れたペニスの変化に、恵莉は驚きから口を開けたまま見つめていた。
しかし青年もまた、射精後のペニスに驚かされる。
いつもよりたっぷりの量を吐き出し終えてなお、ペニスは反り返り、下腹に貼りつきそうに天を向いている。
『今のが射精で、あの飛び散った白いミルクみたいなのが精子』
興奮冷めやらぬ青年は、恵莉の肩にそっと手を置き床に落ちた白溜りを指さす。
「…… 」
無言の恵莉はいつの間にか口を閉じ、フルフルと細い首を揺らした。
『どうしたの? 恵莉』
「でも…… って、おにいちゃんが言った。でも…… 恋人になるには…… って」
そこはかとなく、不満げな雰囲気を漂わせる。
(ふふっ…… )
恵莉の細い指の汚れに眼をギラつかせ、青年は心中にてほくそ笑む。
『おいで、恵莉。いいことを教えてあげる』
折れそうに華奢な身体を引き寄せると、真っ赤な耳へと囁く。
『ところで恵莉、今日が何の日か知ってる?』
剥き出しだった下半身の体裁を整えると、青年はテーブルへと手招きする。
「?」
まだ小さな掌に残る余韻から醒めない少女は、不意な問いかけに戸惑う。
『今日11月1日は紅茶の日。そして僕と出会ってから、丁度…… それにあと少しで恵莉の誕生日』
手際よく用意されたペアのティーカップに、ジャスミンティーが注がれる頃には、小さな身体から緊張は解かれていた。
『恵莉っ、茉莉花のことは覚えている? ジャスミンティーは、その茉莉花の花冠で茶葉を着香しているんだ。白く小さな花だけど…… 』
「…… 」
先ほどまでと全く方向性の違う感情に、少女の頬は再び熱を帯びていく。
まだ小学生五年生の恵莉にとって、青年の話は時折難しく感じる事も有ったが、好奇心を刺激してくれる方が大きかった。
自分を対等の存在として扱い、語り掛けてくれることが、何よりとても心地良く感じられていた。
そして恵莉の心は青年との出逢いに感謝しながら、数週間前に想いを馳せる。
『よしっ、これで記入はO.K.。あとは…… 入力をっと、あいざわ えりちゃんでいいのかな?』
用紙に記入された内容を確認しながら、端末に入力する図書館の受付職員。
「ううんっ…… めぐっ、えりじゃなくて、めぐりって読むの」
緊張から、受付職員と目を合わさず呟く少女。
『恵に莉で、めぐりちゃんか、可愛いお名前だね。それに莉と言う字は茉莉花から取ったのかな? ご両親は素敵な感性をお持ちのようだね』
そう一人で納得するよう呟きながら、図書カードを手渡す青年。
「?」
言われてる意味は理解できなかったが、なんとなく褒められてることだと感じられた少女の口元は綻んだ。
恥じらう少女の微笑みは、まるで白い小さな花の蕾が綻んでいくように感じられた。
(夜に花を咲かせるジャスミン、花は美しく香りは…… 白いジャスミンの花言葉は、温順と…… )
恵莉の透き通るような白い肌に、青年の心は白いジャスミンの幻影を視ていた。