蓮の決意-4
「はぁー。」
その日の夕方は生憎の梅雨模様だった。
私は柊先輩に褒められて浮かれあがってたのか、この日の吹奏楽部での演奏練習もミス連発で、顧問の先生を初め、他の部員にまで迷惑を掛けてしまった。
柊先輩は「気にしないでいいよ」と励ましてくれるものの私の心は晴れず、天を見上げる
…外は辺り一面曇っていている。まさに今の私の心情そのものだ。
すると、小雨程度だった雨から一気にザーとバケツをひっくり返すような雨となり。
「嘘っ!」
と、思わず声に出て頭をカバンで防ぎ、運よく近くにあった閉店した店の玄関に咄嗟に身を寄せた。
「んもう!」
悪態をつき、濡れた服を払う。
この日は柊先輩も家の手伝いがあり、いつものドーナツ店に一緒に行く事は出来ず。
「……はぁ。」
白い吐息だけが空しく宙を舞い。
私は不意に今日ミスした事を思い返してしまい。他の部員に怒られた事、音程をズラすたびに全員視線が私に向けられた事。
「ホント、何やってるんだろ私。」
失敗するとやっぱり落ち込むし、自信もなくす。そりゃ退部する程ではないけれど、何だか明日も上手くやれない気がしてきた。
「へっくしっ!」
急な雨からの寒さにくしゃみが、更に。
ギュルルルルルル
お腹まで鳴りだし、そういや今日朝ごはん食べてなかったな、少し寝坊して。
「はぁーーー。」
本当何してんだろう、私。
沈みに沈む私の心と関係なく情け容赦なく降り続ける雨。
「止みそうにないな、どうしよ…。」
濡れて帰りたくもないし、かと言ってこのままずっとこんな所にいるっていうのも。
どんどん力が抜けていき、どうしていいのか途方に暮れていると。
「え。」
急に地面に影が見えするとそこに傘を差し、その傘に若干濡れる私をいれてくれる一人の人物が。
「君、お家はどこ?良かったら近くまで送るよ。」
「……。」
優しい笑顔で私を雨から助けてくれる一人の少年。