第6章 不倫の入り口はクリスマス・イヴ-6
甘く苦しみながらも、その快感に浸り切る朱音。もうこのまま頂に達してしまいたい気持ちでいっぱいであった。朱音は今まで男にエクスタシーを求めた事は一度もなかった。基本的に男は自らの欲求を満たしたいが為にセックスをするものだと思っていた。それなりにキスをし、体を弄られそれなりに声を出し、差し出されたペニスを口に咥え、そしてとりあえず濡れていればあとは勝手に腰を振り出してしまえば下らない営みは終わる…、そう言う物だと思っていた。
しかし田澤にはそれまでの自分の常識を覆す悦びを感じる。それはマインドコントロールに飲み込まれた結果だろう。自分の為に尽力してくれる田澤に女としてできる事は全てしてあげたいと思うし、求められる事は全てに於いて応えたいし、なによりも田澤にこの体を満たして欲しいという強い気持ち。心の底から湧き上がるような田澤への想いが朱音の体の底に眠っていた女を目覚めさせたのであった。男には負けたくない…ずっとそう思っていたが、尽くす女の幸せを感じつつある朱音であった。
田澤が朱音の両脚をグッと開き性器を見つめる。
「あん…は、恥ずかしいです…」
思わず両手で隠す朱音。
「立花、手を退けろ。お前のソコを良く見せてくれ。」
「…は、はい…」
田澤に刃向かう事など許されない。そう感じた朱音はゆっくりと手を退かして行く。再び田澤に向けご開帳する朱音。恥ずかし過ぎて目を閉じ横に顔を向けた。
「キレイだな、立花の…」
その一言に顔がポーッと熱くなる。興奮を如実に表した女の秘所が田澤の目に映っていると思うともうどうしようもないぐらいに恥ずかしくなる。
それからの朱音は自分が自分でないような、そんな感覚に陥った。まるで夢の中で客観的に自分を見ているような、そんな感覚だった。耳に届く神の声に、ただただ従順に従う操り人形のように。
自分でビラビラを左右に開けと言われれば手を伸ばし性器を左右に開いた。たっぷりと潤った女花に這う舌に悩ましい声を響かせ顎を上げた。目の前に仁王立ちする神の足元に跪き悠々しく聳え立つ男器をうっとりと見つめ口に含み丁寧にしゃぶり尽くす。神に見下ろされる視線に僕の視線で見つめ返し従順を証明する。
「立花…!」
神の忍耐が限界に達しベッドに押し倒されると、自ら大きく開帳し神に仕える意思を表した。
神の不徳の極みが堅まった肉の塊となり朱音と一体化する。朱音の体は大きな悦びを得る。何度も何度も打ち込んで来る肉杭に朱音は惜しげなく甲高い喘ぎ声を響かせる。まるでエデンで神に愛されているようだ。見たことのない美しいたくさんの花に包まれながらこの幸せを一身に浴びているような至福の時間に朱音の心の闇は徐々に消えて行った。
「イクゥゥゥゥゥ!!」
無意識にそう絶叫した瞬間、体は天高く舞い上がり雲を突き抜け真っ青な空の中暖かな陽射しを受け、まさに世界の頂に達した気持ちの中、柔らかく暖かな雨を顔に浴び最高の心地よさを感じていた。
(気持ちいい…。ずっとここにいたい…)
朱音は緩やかな至福の時の中に身を任せていた。
どのぐらい余韻に浸っていただろうか。朱音が目を開けるとベッドの上、お互い一糸纏わぬ姿のまま肩を抱かれベッドに並寝していた。田澤は優しい表情で朱音の顔を見つめながら髪を撫でていた。
「課長…、私…」
田澤は朱音の言葉を唇で塞ぐ。
「何も心配するな。俺に任せろ。」
朱音はその言葉にうっとりしながら頷いた。
朱音にとって生まれて初めて特別な聖夜と思えるクリスマス・イヴを過ごしたのであった。