07.真相-7
「そ、そうなんだ……いや、女性と、もちろん男性ともあんな風に最後までいったのは、その、人生初っていうか……」
「じゃ、じゃああたしが智志君の初体験の相手ってこと?」
「そ、そういうことになるね」
「やだ! ごめんなさい!」
あたしも真っ赤になって思わず叫んでいました。
「君が謝ることじゃない」智志君は早口で言いました。「すごく……気持ち良くて、貴重な体験だった。昂奮がなかなか収まらなくて、コントロールが効かなくって……乱暴しちゃってごめんね」
「昨夜、激しかったですもんね。結局二回もやっちゃったし」あたしは困ったような顔で笑いました。「でも初めてだったら無理もないと思います」
智志君は申し訳なさそうに頭を掻きました。「結果的に君は身体を張って欲情した俺から嶺士の貞操を守ったんだね。ほんとにごめん。犠牲は大きかったね」
「でも、あたしインラン女だから、とっても気持ち良かったです」
「や、やめてくれよ」智志君は赤くなりました。
「実は嶺士、最近求めても拒否ってたから、それに対して復讐しようっていう気持ちもちょっとだけ」
あたしはぺろりと舌を出しました。
「だ、だけど、俺、君の中に、その、直接……。危ない時期じゃなかったの?」
あたしはテーブルの端に置いていた黄色い薬の箱を智志君に見せながら言いました。
「あの後すぐ、これ飲んだから大丈夫です」
「それは?」
「緊急避妊薬。sexの後で飲むピルです」
「へえ、そんなのがあるのか。知らなかった」
あたしはそれをゴミ箱に放り込んで言いました。
「ストックしてて良かった」
「ほんとに申し訳ない……俺、すごく気持ち良くて、避妊のことなんか考えもしなかった」
智志君は赤くなってうつむきました。
「女性の身体も悪くないでしょ?」
あたしはウィンクをして笑いました。
智志君はいきなり暗い顔をして言いました。
「でも、おそらくあいつは気づいてるよね、昨夜のこと」
あたしはテーブルに目を落として言いました。「たぶん……」
「やっぱり俺、話すよ、何もかも」
「いえ、とりあえずあたしに任せて下さい。もし貴男がどうしても嶺士に伝えたいことがあるなら、少し時間を置いてから」
「それでいいの?」
「これは言ってみればあたしと嶺士の問題ですから」
「ほんとにごめん。亜弓ちゃん」
今度は智志君があたしの手を握りました。