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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第5章 救いの手-6

「し、しかしだね…気持ちは分かるが世間や本庁はそのような処分では納得しないだろう…」
そんな答えは想定内と事だと言わんばかりに田澤は即答する。
「マスコミで報道されている事は現場に居合わせた野次馬の話を元に作り上げたストリー過ぎません。我々は事件を知る重要人物を全てかくまっます。容疑者の1人の小森、そして立花、そして監禁されていた女性5人。我々こそが真実の事件のストリーを書ける唯一の著者なんですよ。死んだ澤田も小森も平気で人を殺せる残忍な人間です。澤田の残忍さが世間に植え付けられればられる程、立花の取った行動が正当防衛として存在感を増してくるでしょう。」
「ち、調書を都合よく作成する…と?」
「そうは言っておりません。いかに今回の容疑者が残忍かを徹底的に調べ上げると言う事ですよ、本部長。」
田澤は意味ありげな微笑を浮かべる。
「とにかくわたしに任せて下さい。私が警察を守ってみせますよ。そしてより真実に近い事件簿が出来上がりマスコミに向け発信出来た後にはもうクリスマス、正月と、人々の興味は娯楽に向かいます。この事件に対する注目度も下がって行くでしょう。今は丁度いい時期です。あと2週間もすればクリスマス。こんなスキャンダルなんかよりも人々はクリスマスに盛り上がります。それに…」
「それに、なんだ?」
またもや意味ありげな笑みを浮かべた田澤。
「この事件が霞むぐらいの事件がいつ、起きるか分からないですし…ね?」
本部長は田澤が何かを企んでいるのではないかと感づいたが、敢えて問い質す事はしなかった。

「これから年内は立花を謹慎させます。もし私が警察を守る事が出来たなら立花の処遇を私に一存してはもらえないでしょうか?」
本部長は少し考えながら答える。
「いいだろう。確かに処分を公表するにはまだ時期が早すぎる。この件は君に任せる。もし県警本部の威厳を失わずに済んだなら、立花は君に全任しよう。」
田澤はニコッと笑った。

「では私はしなければならない事がたくさんあるので、失礼します。」
田澤は朱音や島田には一目もくれずに振り向き去って行ったのであった。
「と言う事で島田君の処分は一度取り消す。立花は暫く独身寮にて外出禁止の謹慎指令を出しておく。監視の人間をつけておくから生活必需品などはその監視の人間に申し付けるように。いいな?」
「はい…。」

朱音は人目に晒されてる事なく車に乗せられ独身寮に移動した。その間、ずっと考えていたのは田澤の言葉であった。まさか田澤が自分をあんなふうに思っていてくれたとは思ってもいなかった。事件以来、初めて朱音の頭の中からあの真っ赤な血潮が一瞬消え去ったような気がした。


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