或るデート-3
3.
紀子は、バージンで結婚をした。
遠い親戚の紹介で、いわゆるお見合い結婚だ。
内気な紀子には、中々ボーイフレンドが作れなかった。
高校の同級生が、ぽつぽつと結婚し始めた。ボーイフレンドもいない自分には、結婚の見通しは無い。
特別な才能があるわけでもない、人目を引くほどの美貌に恵まれている訳でもない。極く普通な、どこにでもいるありふれた娘の一人に過ぎない。
健康には恵まれていた。乳房や腰の膨らみは、鏡に映る己が裸身を見てもうっとりとするほど、熟れていた。
(この身体が、どんな男に抱かれるのだろう)
指をはみ出す乳房を撫でて、やがて迎えるであろう夫婦生活を夢見るのだった。
未だ見ぬ夫の指が乳房を握る。乳首がピクリと疼いた。
見合いの相手は、極く普通のサラリーマンだった。紀子は、自分にはこの程度が似合いだと納得をして、結婚をした。
初夜のベッドで、問題が起きた。
新郎は、紀子に重なるなり、いきなりペニスを突き入れてきた。
経験の無い紀子の膣は緊張で乾いたまま、そこに力任せに乾いたままの亀頭が襲い掛かった。
「痛いっ!!!イタイっ!!!〜止めてください」
腰を引いて逃げる紀子の股間を、ペニスが追いかける。
「やめてぇぇぇっ」
膣の周りを突きまわしている亀頭は、穴に入ることも出来ず、先走り液を撒き散らしながら割れ目を滑る。肉棒が一際太くなって、亀頭が跳ねた。
「おっおっ!!!おおおぉぉぉっ」
鈴口から精液が噴出した。あっという間の出来事だ。
精液は膣の周り、恥毛を強かに濡らした。
射精を終えたぺニスは、膣口の前で力を失って萎えた。
紀子は愕然とした。どうしよう?????
ピンクの雲に包まれた初夜を夢見ていた紀子には、全く期待はずれの新婚生活の船出だった。
多分、夫は性行為に無知なのだろう。それなら自分がコントロールしよう。
夫婦生活には、大きな期待を持っていた。経験は無いものの、婦人雑誌やネットで、性生活の何たるかは十分に承知をしている。
次の夜、密かにクリームを用意して、無事、夫のモノを受け入れた。
不動産屋の営業をしている夫の収入は悪くなかった。その代わり、毎晩のように飲んで夜遅く帰ってくる。当然、夫婦の交わりは疎かになる。
それでも年月が経つうちに、粗雑な夫の愛撫にもそこそこの悦びを覚える夜を迎えるようになっていった。
いつも酔っている夫では、生まれてくる子供にも良い影響はないと、紀子は避妊ピルを飲んだ。
寂しい夜は、官能小説を読んでオナニーに気を紛らわせた。
取り立てて悪いこともなく、面白いことも無い生活が続いた。
それは突然に起こった。
夫が、深夜、帰宅の途中でスピードを出して電柱に激突して死んだ。
子供はおらず、収入も悪くなかったので、貯蓄があった。保険金も入った。
紀子にとって、理想の夫ではなかったが、とりあえずは生活に困らないだけのものは残してくれた。
愛していたとはいえないが、独り残されてみれば、悲しく、寂しかった。