宴 〜形〜-6
後で暇を見付けて『どうしてフェラチオ直後のディープキスができるのか?』と尋ねたら、あっさりした答が返って来た。
『舌でさんざん相手の体をいたぶった後に、キスするだろ?つまり、お互い様』と。
まあとにかく、ねっとりと舌を絡め合ったせいで智佳は鎮まっていた性感が我慢できないほどに高まってしまったらしい。
膝を擦り合わせ、切なげに胤真の体へ指を這わせる。
「胤真、様……おま〇こに、胤真様のおち〇ち〇欲しい……」
唇が離れた一瞬に、智佳はそう哀願した。
「欲しいのか?」
胤真は智佳の指を股間へ導き、熱い楔をさすらせる。
たっぷりと絡められていた唾液など既に蒸発していて、溢れ続ける先走りのみが刀身を濡らしていた。
「ほ、欲しいです!」
間髪を入れず、智佳は答える。
「胤真様のおち〇ち〇が欲しくてヒクヒクしてる智佳のいやらしいおま〇こを、使って下さい……」
淫らな言葉が飛び出す唇を再び塞ぎ、胤真は芳樹を見た。
芳樹もまた、真矢を再び貫く体勢に入っている。
「ふふ……」
胤真はいったん智佳から離れ、道具棚からバイブと避妊具を取り出した。
実は智佳、今日が危険日なのである。
定期的に胤真と肌を合わせるようになってから、智佳は小型拡大鏡を購入して危険日を調べ、胤真に申告するようになった。
できる事なら胤真にそんな手間を取らせないようにという、智佳の気配りである。
「胤真様……」
智佳は唇を噛んだ。
―中出しされるのは、智佳にとっては気持ちが良すぎる。
絶頂を迎えて全身が痙攣している時に、子宮に向かって弾ける精液。
あの勢いを味わったら、危険日にスキンを使おうとする胤真の態度が、智佳の目にはもどかしくて不満に映る。
胤真を、直に感じたい。
たっぷりと出される精液を、体の奥で味わいたい。
だが以前の危険日に、欲情のあまりその事をおねだりしたら問答無用でおあずけを食らわされた。
胤真自身が我慢できないほど勃起していたにも関わらず、である。
その上、智佳が見ている前で肉筒を扱いてさっさと欲望を放出し、その日はそれでお開きとなってしまったのだ。
あの時ほど、精液がもったいないと思った事はない。
今日だって念のためと事前に避妊フィルムを入れさせられているが、割と不満を感じる。
だがもし、それを胤真にぶつけたら……二度目のおあずけなど、絶対に耐えられない。
身震いし、智佳は胤真を受け入れる姿勢を整えた。
堅い石の床へ仰向けになると肌を傷付けるので、四つん這いになって尻を高く掲げる。
物欲しげにヒクついて蠢く蜜壺へ、戻ってきた胤真はバイブを挿入した。
ずぬうッ!!
「ひぐっ……!」
狭い肉穴を急激に広げられ、智佳は悲鳴を上げる。
そして胤真はスペルマキャップを被せた肉棒を、智佳の直腸へと沈めた。
「んぎいぃいっ!!」
拡張感に、智佳はよだれをこぼして悶える。
胤真がバイブのスイッチを入れると、智佳の悶え方はますます激しくなった。
「ひぎゃあっ、あっ、ぎぃっ!!お、おし、お尻ぃっ!お尻凄いぃいっ!」
避妊フィルムは無駄になるものの、さらに念には念を入れてアナルセックスに及んだわけだが、智佳は胤真を感じる事ができたので満足しているらしい。
その証拠に、智佳は早くも絶頂寸前まで登り詰めてしまった。
「あっあっああ……胤真、胤真様ぁ!」
終わりのない穴を抉られる快感に、智佳は溺れる。
両方を同時に愛される禁忌の快楽は、いつぞや胤真が宣言した通りに智佳を虜にしていた。
「ひはっ、ああっ、あああっ!!」
智佳は肉棒を絞り上げ、快楽の度合いを胤真に伝える。
「イッ、イクッ!イキますうぅうっ!!」
「うわあ」
腰を振るのも忘れ、芳樹は胤真と智佳のプレイに見入る。
「いつもながら……凄いなあ」
快楽で蕩け切った智佳の顔を見ていると、真矢への行為は自慰以前の稚戯にも等しいのではないかと思う。
「お、お兄様……」
真矢は唇を尖らせた。
主導権を握る芳樹が真矢の事をおろそかにしているのだから、面白いわけがない。
「あ、ああ……ごめん」
だが芳樹も以前とは違って、あちらの二人に見とれ続ける事もない。
そう謝ると、自分達の繋がりを擦る事に専念し始めた。
「んっ、ふ……」
芳樹の関心が直ぐさま自分へ戻ってきた事に満足し、真矢は身をくねらせて快楽を貪る。
以前ならば『主人のする事に口出しするな!』などと言って、激しい打擲が飛んで来ただろう。
体の奥まで実兄に支配されながら、真矢はそんな事を考えていた。