第4章 過信が生んだ落とし穴-4
被害にあったであろう女性はここで確認できるだけでも20人はいた。奪った金額は5000万を超えている。その中で5人の女性だけ殺害された写真がなかったのは恐らく先程ここから逃げて交番に行き保護された女性らだろう。殺害された女性の中には死体が発見され捜査している女性も含まれていた。一連の強姦殺人事件があの2人によるものだと言う裏付けされる重要な証拠であった。
最後の日付は今日、すなわち美弥妃のフォルダであったがまだ画像はない。エクセルファイルがあるだけだ。そのファイルを開いて見た。そのファイルには犯行前の下調べをしたであろう内容が書かれていた。それによるとプロミスムーンと言う店の美弥妃と言う女性はこの界隈では指名率ナンバー1を誇る超人気嬢であり、月収は推定600万との事だ。支払いは日当だと書かれておりこの日も30万は所持していただろうと思われた。容姿、スタイルとも最高評価されてた。最高の獲物として慎重に下調べをしていた形跡があった。
その他と言うフォルダを開いた朱音は更に驚く。そこには事細かに警察の動きが書かれていた。自分の情報はもちろん、桜町の他を張り込んでいた刑事らの情報も書かれていたが、先程口で言われた通りの事が書かれており、いかに適当な張り込み捜査をしていたかが細かく書かれていた。自分については要注意刑事としてチェックされていた。1人だけまともに張り込みをしていると言う評価の後に、自分に対しての欲望丸出しの言葉がいくつも並べられていた。自分の写真も貼り付けられており、超S級極嬢で隙があればレイプしたいと言ったふざけたコメントが添えられていた。
「自分も狙われてたんだ…」
もし交番の警官が来なければ確実にレイプされていたであろう状況を考えると恐ろしくなった。先程感じた恐怖に再び襲われたのであった。
暫くすると県警本部の刑事らが到着した。その中には島田の姿もあった。交番の警官から朱音が関わっている事は知っていた島田。勤務外の身勝手な捜査を行っていたことには大きな不満を抱いていた。
「立花!ここで何をしているんだ!!」
非を認めている朱音は犯人を見つけ出した事よりも謝罪しなければならない気持ちが優っている。朱音が勝手に捜査した事には色々な問題があるからだった。
「申し訳ありませんでした。」
「謝って済む問題じゃないだろう!勤務外での捜査、それにこれは不法侵入に当たる。令状なしだからな!お前だけの責任じゃないんだぞ!捜査一課全体の責任になるんだ!そのぐらい分かるだろ!?」
「す、すみません…」
「まず県警に戻って勤務手続きをしてこい!今すぐだ!」
「は、はい…!」
朱音は別の刑事の運転で県警本部に戻り勤務手続きをしてから再び現場に戻って来たのであった。