第24話 『10人11脚、ムカデ競争、障害物競走』-3
プログラム22番『障害物競走』
C、Bグループから3名ずつ、計6名が選抜され、1周400メートルのグラウンド各所にスタンバイする。 手際よく様々な器具が運び込まれ、生徒会所属の係がテキパキ組み立てました。
「5種類の小競技を合わせた競技になりますわ。 第1走者が『ドンタコス』、第2走者が『パン喰い競走』、第3走者は『飴悔い競走』になります」
「第2、第3はいいとして、最初の『ドンタコス』というのは初耳だね」
「簡単にいいますと、袋に両足を突っ込みまして、ジャンプで移動する競技です」
「面白そうだ。 旧世紀に『スーパーマリオブラザーズ3』というビデオゲームがあって、そこに『ブーツマリオ』というキャラが登場したんだが、要するにそういうことと見た」
ここで教頭が深々と頭を下げた。
「申し訳ありません。 寡聞にして、す、すーぱーまりお、でしょうか……存じ至らぬ次第です。 ブーツマリオが如何なるキャラクターか、勉強しなおす所存です」
「……いや、これは失敬、知らない方が自然です。 こいつは僕が悪かった」
頭を上げようとしない教頭を制し、南原からも会釈した。
「ええっと、第4走者以降についても教えて貰えるかな」
「はい。 第4走者は『潜りもの競走』と言いまして、ハンモック状に這ったネットと地面に並べたハードルを潜り、速さを競います」
「なるほど。 それで、第5と第6は?」
南原は気を取り直して話題を変えた。
「最後の競技は2人1組ですわ。 2人で腕を組んで足を結び、2人3脚でゴールに向かって貰います。 以上5種目の総合順位を競うわけです。 そろそろ競技開始ですよ」
教頭が言った通り、すぐに体育委員長の首輪が絶頂で光り、空砲が響いた。
競技の説明を受けてから実際の試合を観戦すると、情報・先入観無で観戦した場合に比べ、遥かに多くのことに気づくものだ。 例えば『ドンタコス』、袋の膨らみから、底にエボナイト棒が立ててあることが分かる。 つまりドンタコスでピョンピョン飛び跳ねる少女は、袋内部の棒を膣深くに咥えながら頑張っているということだ。 『パン喰い競走』では、物干し棹からぶら下がったアンパンを、逆立ちした膣で頬張る。 逆立ちしたまま背伸びして股間をパンに触れさせるだけでも大変なのに、その上膣圧でパンを喰いちぎらねばならない。 手を使わず膣内にパンを納めるのは至難の業だ。 『飴喰い競走』では、地面に置いた盥を跨ぎ、白い粉に隠れた飴を股間で探す。 尻を上下させて風を起こし、粉を吹いて飴を探すのだが、見つけてからが大変だ。 盥を跨いだまま腰をおとし、尻をすっぽり盥に嵌める勢いで、力づくでグイグイ押しつける。 そうして膣を盥の底につけ、飴玉を咥えてから走りだす。
第4走者の『潜りもの競走』では、実に様々なものを潜らされる。 生徒たちの応援席真上に張り巡らされたハンモックに、ハードルという名目で応援席に並んだ生徒椅子の下を潜る。 自分のクラスであれば何もせず通すが、対抗クラスの生徒が潜りにくれば容赦しない。 ハンモックを這う生徒には、下から乳首を摘まんだり、クリトリスを狙ったり、足や腕を掴むことはないものの、網のしたから悪戯やりたい放題だ。 椅子潜りも同様で、対抗クラスが潜りにきたら、頭を踏んだり、尻を蹴とばしたり、頬っぺたを足の指で摘まんだりする。 蹴るといっても本気で蹴るわけじゃない。 が、軽く蹴られるだけとはいえ、何十人もに蹴られる辛さは大概だろう。
最終走者は2人3脚でゴールテープを切るべく駆ける。 2人の体は細い『クリップ付きフック』で雁字搦めに繋がれていた。 左右の乳首同士、クリトリス同士は当然として、舌と舌、耳と耳、鼻の孔と鼻の孔、小陰唇の内側同士、大陰唇の外側同士、膣口と膣口、肛門と肛門、尻朶と尻朶……考えられる限りの部位が、例えば『孔』同士であればフックで、例えば『突起』同市であれば『クリップ』で繋がれる。 それらの接続は力が弱く、ちょっとでも反対方向に引っ張られれば、すぐに外れてしまうシロモノらしい。 2人3脚は、無数の『クリップ付フック』を外さないよう、一挙手一投足をシンクロさせる必要があった。 接続が1つでも外れれば、その場でくっつけ直すしかない。 けれど、例えば『鼻の孔』同士をフックで繋げば『クリトリス』同士のクリップが外れるという具合に、すべてが同時に接続した状態を作るのは生半可でないハードルだ。
特に第2走者と第5走者が大幅に時間をとったため、障害物競走が始まってから終わるまで、たっぷり20分以上経過していた。