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熱闘!全裸体育祭
【教師 官能小説】

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第23話 『応援合戦』-2

 応援を終えた指揮役の少女が、脚をもつれさせながら応援席に戻る。 引き続いて3組の応援が始まるも、南原は少女が気になって仕方がない。 応援を終えた指揮役の少女は、再び『クラス旗』に戻るべくクラスの旗棒に登ろうとしている。 けれど力が入らないのか、中々身体が持ち上がらない。 そりゃそうだろう。 碌に休憩も取らず、水分補給すらせずに、太陽が直射する棒に登ろうだなんて無茶だ。 よしんばポールを登ったとして、これから午後一杯、午前よりカンカン照りな空の下で、ジッとぶら下がるつもりだろうか。 
「あの……」

 教頭は、南原があらぬ方角を見ていることに気が付いた。

「……いかがいたしましたか? 2組の生徒が何か阻喪(そそう)でも?」

「いや、そういうわけじゃないですよ。 ただ、彼女――ええっと、名前が分からないんですが、2組の応援合戦を引っ張った、下級生の子なんですがね」

「C15番ですね」

 教頭は即座に答えた。 全生徒の顔、名前、その他諸々の情報を完璧に暗記することは学園の教員が年度初日にこなす業務であり、教頭も例外ではない。

「熱中症にかかったようですな。 こういう場合はどうするんです?」

「特に何もいたしません」

「……ほう」

 意外な返答に南原は面喰った。 てっきり救護ブースに運び、休ませると予想していた。

「学園生たるもの、少々の体調不良は気力で回復するよう躾けています。 よしんば限界に達したとして、物理的に行動不能にならない限り、特段の処置は行いません。 わたくしも、C15番の調子は万全でないことは分かりますわ。 かといって、たかが熱中症でリタイアするような軟弱さ、学園で看過するつもりはありません。 みな、もっと厳しい状況を幾度も越えて、ここに立っているんですもの」

「な、なるほど」

 教頭は、南原と対照的に、少女のことなど全く気にかけていなかった。 

「細かい判断は担任裁量に任せていますし、わたくし達は気にせずとも構いませんよ。 そもそも、確かに一見すると限界のように見えますが、彼女にしても学園で半年を過ごしているんですから、そうそうギブアップはしませんよ。 わたくしが見る所、彼女はまだまだ余力があります。 最後まで立派に『クラス旗』を勤めてくれることでしょう」

「う〜ん……そういわれると、そうかもしれませんが……」

 腕を組む南原。 教頭の言い分に一理あることを認めつつも、納得は出来ない。

「熱中症の生徒を救護しないとなると、あの救護室は何のためにあるんです」

「はい。 来賓の方にご不調があった場合や、競技中に骨折、失神、或は死亡した生徒を処置するためですわ」

「し、死亡って……そんなケースがあるんですか」

「もちろん、本学園にそういった事例はありません。 せいぜい骨折が1、2年に1度あるくらいですわ。 けれど他校では毎年1、2例重篤な事故が報告されていまして、そういった場合に備え、心肺蘇生、人工呼吸、一通り救護措置は熟練させてございます」

「はぁ……そういう目的なんですか。 なんともはや、僕の想像の埒外ですよ。 もっと軽度の症状にも対応するとばかり思ってましたよ。 ふう」

 一呼吸置く。 フラつく下級生少女の残像が南原の脳裏にこびりついている。 あれは、南原的には限界を超えた姿だった。 どの競技も理性を羞恥で塗りつぶす酷い学園祭ではあるが、少女たちが元気であればまだ許せる。 しかし、心は兎も角、身体の健康を失いつつある少女だ。 彼女が顧みられない事態には得心できない。



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