投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

濡レ羽色ノオ下ゲ髪
【ロリ 官能小説】

濡レ羽色ノオ下ゲ髪の最初へ 濡レ羽色ノオ下ゲ髪 49 濡レ羽色ノオ下ゲ髪 51 濡レ羽色ノオ下ゲ髪の最後へ

濡れ羽色のお下げ髪-3


「ここで、皆さんに残念なお知らせをしなくてはなりません」
 挨拶の途中で突然、校長の語気が弱くなった。一体何事かと生徒たちがふたたび私語を始める。
「静かに!」
 先ほどの教師が大声を張り上げると、静けさを取り戻した館内に緊張がはしる。それを見届けてから校長はいよいよ苦い表情で口を開いた。
「我が校の教師三名は、このたび、不祥事を起こしたために退職することとなりました」
 キーン、とマイクが悲鳴をあげる。その音がまだ鳴り止まないうちに、今度は体育館全体が揺れるくらいのどよめきが起きた。
 静かにしなさい、という教師の必死の声も、今度ばかりは何の効果も発揮出来ないようだ。怒声を上まわるほど巨大な無数の声の集合体が、体育館のあちこちで雪だるま式に膨れ上がり、始業式は一時中断を余儀なくされた。
 教師三名、不祥事──それらのピースを頭の中でもてあそびながら、遥香は一言も発さずに立ち尽くしていた。それから教職員らのほうへ視線を向け、足りない三名を反芻(はんすう)してみる。
 言うまでもなく、櫻井教諭、円藤教諭、川島教諭の三名にほかならなかった。遥香のほかにも性被害に遭った女子生徒がいて、そのうちの誰かが告発したと考えるのが妥当な線だろう。
「ありがとう」
 遥香は思わずつぶやいていた。季節は夏だが、長い冬眠から目覚めて春を迎えたような気分だった。
 けれども心の底から救われたとは思わない。未成年の少女がレイプされたとなれば警察が動くだろうし、それなりの証拠も少なからず出てくるだろう。
「きっと、私の画像も……」
 そんなふうに遥香が晴れない顔をしていると、知らないあいだに始業式が再開されていて、幾分表情の和らいだ校長がマイクに口を近づけるのが見えた。
「とにかく、欠けた部分を補わないことには何も始まりません。そこでさっそくなのですが、新任の先生を皆さんに紹介したいと思います」
 と、校長が壇上から退くのと入れ替わりで、教師らしき一人の男性が幕の袖からあらわれた。
 遥香は三年生なので、一年生と二年生の後頭部を眺められる場所に整列している。いくつものお下げ髪が左右に揺れたり、背伸びをして上下する様子が伝染するように広がっていく。それは壇上の新任教師に対する注目度の高さを物語っていた。
「初めまして」
 堅い表情をのぞかせる新任教師の第一声に、若い娘たちはその場で小さく飛び跳ね、あるいは手を叩く仕草をして彼を歓迎した。
 唯一、遥香だけが冷めた目で彼のことを見ていた。印象はそれほど悪くないのだが、成人男性、とくに教師という職業に対して嫌悪感がはたらく遥香にとって、世の中すべての男性教師が敵だった。
 下心のない人間など存在しない、だから私たち女の子はいつも警戒していなければならない、と遥香は壇上の紳士に視線を送る。
 すると向こうも何かの気配を察知したのか、自己紹介を終えた後の拍手を浴びながらも、全校生徒の中から遥香のことを見付けて微笑み返してきた。
 その時、体の一部がしくしくと疼くのを遥香は認めるしかなかった。
 それは悪夢の続きを示唆するものなのか、それともただの錯覚だったのか……花の寿命を背負った少女たちには知るすべもない。


濡レ羽色ノオ下ゲ髪の最初へ 濡レ羽色ノオ下ゲ髪 49 濡レ羽色ノオ下ゲ髪 51 濡レ羽色ノオ下ゲ髪の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前