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濡レ羽色ノオ下ゲ髪
【ロリ 官能小説】

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狙われた純潔-1




「理科室を借りられることになってね」
 別棟(べつむね)に繋がる渡り廊下を歩きながら櫻井が言った。これから向かう先に、その理科室がある。
「放課後なら好きなように使ってくれていいと、教頭先生もおっしゃっていたよ」
「そうですか……」
 前を行く見すぼらしい背中に遥香はつぶやいた。空いているからとはいえ、わざわざ別棟に行く理由がわからない。
 すれ違う生徒の姿もほとんどなく、板張りの古い廊下に視線を落とせば、あちこちにこびり付いた黒い染みが不安な気持ちを一層膨らませる。
 不意に櫻井の足が止まったので、遥香も彼の後ろで立ち止まった。考え事をしていて気付かなかったが、いつの間にか理科室の前にいた。
 櫻井が真鍮製(しんちゅうせい)の鍵を鍵穴に差し込むのを、遥香は固唾を飲んで見守った。
「入りなさい」
「あ、はい……」
 重たい気持ちを背負ったまま遥香は理科室に入り、整然とした室内を見渡して立ち尽くす。
 黒板、机、水道の蛇口、備品を収納するキャビネットなど、どこにもおかしな点はないように見える。違和感があるとすれば、理科室に社会科の教師がいることぐらいか。
 その櫻井が腕組みをして考え込む仕草をした。
「こんなに広いんじゃ、落ち着いて作業に集中できないなあ」
 半ば独り言のようにぼそぼそとつぶやくと、櫻井は机の間を縫って理科室の後方まで移動し、セーラー服姿の遥香を振り返った。
「ここなら大丈夫だろう。ほら、麻生さんも来なさい」
「でも……」
「早くしないと日が暮れてしまう。いいから来たまえ」
 櫻井の声には、どんな手段を使ってでも目的を果たしてやる、という焦りがうかがえた。
 遥香はおそるおそる櫻井の元まで行き、二人して一つのドアの前に立った。ドアには『理科準備室』とある。
 どうか何も起きませんように──と遥香は祈りを込めてドアノブをまわし、覚悟を決めてドアをくぐった。
 後から入ってきた櫻井がふたたびドアを閉めると、今度はしっかり施錠する。彼の口元に笑みが浮かんだように見えたのは、おそらく見間違いではないだろう。
 遥香は自分の胸の辺りを両手で押さえた。極度の緊張で心拍数がかなり上がっている。


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