ACT 3-1
「こんにちわあ……」
それから10分ほどしてVIPルームに入ってきたのは、やはり間違いなくセリナだった。
ゼブラ模様のビキニの胸元にホットパンツにサンダルといういでたちは、それまで見たときよりもいっそう色香がまして見え、おれはもう天にも昇る思いだった。
「ひさしぶり……おれのこと、憶えてる?」
ショウが終わったばかりでまだ息を弾ませたセリナはしばらくおれの顔を見つめていたが、しだいにみるみる驚きの表情に変わっていくのがわかった。
「え……どういうこと? ……なんでここにいんの? ……嘘でしょう?」
「……まえからずっとファンだったんだよ……」
「……あッ……ちょっとッ……!」
おれは馴れ馴れしくセリナの肩を抱き寄せた。
「会いたかったよ、セリナ……」
「……い……いや……だッ……」
耳元で熱く囁きながら太股を撫でまわすと、セリナはゾクッと身を震わせて逃げようとする。
大柄なからだから甘いコロンの香りが鼻先をくすぐる。
「そんなに嫌がるなよ、なあ……」
「……いやンッ……!」
逃げられないセリナは、耳元で囁かれるたびにビクッビクッと敏感にからだを反応させる。
ふだんの気の強そうな外見からは想像できないその甘えっぽい媚声と感度のよさからして、セリナのマゾっ気はほんとうらしかった。それがわかると、おれはもう宿泊しているホテルに一刻も早くつれていきたくてたまらなくなっていた。
「Kにはお前のダンスのこと、きっちり言っておくからさ……」
「……えっ?……」
ダンスの話になったとたん抵抗が止み、セリナの瞳に迷いの色があらわれるのがわかる。どうもKの言っていたことはすべて本当らしかった。
「お前には才能があるんだから……おれが何とでもするから……」
耳元で熱く囁きながら、おれは夢中でセリナをかき口説いた。