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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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いつだって-3

「手、ケガすんなよ。」
「大丈夫!家で毎日やってるから。」

結局家にあがってもらい、晩御飯の支度まで手伝ってもらっちゃって。

一体どういう事なんだ、いくら彼女が隣に越して来た時にちょっと手を貸したくらいでお礼とばかりにここまで…。

「なぁ君…。」
「手際良いね、家事を親の代わりにやってたっての本当なんだね。」

疑惑を尋ねようとしたら向こうから先手を打たれてしまい。

「料理上手な男子って素敵よね。」
「…ほ、ほっとけ。」
「でもここまで上手く出来るなんて相当だよ、これらも全部自分一人で?」

ジャガイモを削った皮がシンクに落ちる。

「そんな訳ないだろ、色んな人の手助けがあって。」

そっか、そっか…と言わんばかりに首を縦に振り納得する。

「特にそうさせてくれたのは彼女かな。」
「え?」
「あーいや俺の知り合いで料理上手な子が居るんだ、でその子から料理のノウハウを教えてもらって。」
「へぇー。」
「買い出しまで付き合ってもらって、この家だって元々は散らかっててもうビール瓶につまみが散乱してて。」
「それは…その、個性的だね。」
「やめろ、素直に悲惨とでも言ってくれ、余計悲しくなってくる。」

してその状況を写真に撮ってブログにでもあげるってか。

「まぁその子も俺らと同じ学年で、学校も同じなんだ…って言ってもクラスは違うが。」
「へ、へぇー。」
「そういや似てるよな水原さんと。」
「え?私が?…。」
「あぁ、家庭的で親思いっつーか。」

確か水原さんの家庭も少々訳アリだとか。

「……じゃーその子には感謝だね。」
「あぁ、彼女と並んでキッチンに立った時、いつか恋人とではなく夫婦としてやっていきたいなぁー何て言った事もあったっけな。」
「っ!!」

突然洗っていたキャベツをシンクにつるっと落とす。

「大丈夫か!?」

さっと落ちたキャベツを再び持ち上げ、俺の問いに答えるでもなく。

「……。」
「?、ど…どうした。」
「その子と、その…お付き合いしてんの?佐伯君。」
「それは…。」

確かに付き合ってた、彼女が俺の窮地を救ってくれたと言えなくもない、まさに今のように、俺には常に傍に居て支えてくれる人が居ないとダメらしく。

「うん、付き合ってた。」
「っ!!」
「…けど別れたんだ、色々あってさ。」
「え…。」

そう、今はかつての恋敵であり今は親友の風馬が彼女の恋人。陰ながら柊さんの幸せを応援している。

「じゃー今は。」
「ん?」

何やらオズオズとする彼女。

「今は独りなの?」
「まぁな、いやー嘗ては色んな女と付き合ってたな。」

時々自分がモテ期が過ぎた、もとい昔はモテた爺さんに見える時がある、って言っても今のクラスでもそこそこモテるな、でも付き合いたいとは思わない。

「俺、やっぱりそう映ってるのかな、女ったらしなダメ男に。」

俺が付き合ってきた中で、柊さん巴を除いてはほとんどがいい加減な交際だった、俺に寄ってくる奴は大概俺の顔目当てだからな。

「そんな事ないよ。」
「え?」
「私、貴方の近くに居るから何となく分かるの、お父さんの為に一生懸命で、色男とはかけ離れたイメージでさ。」
「水原さん…。」

俺ってば彼女を柊さんと重ねてしまっているな、どことなくそんな感じで。

「…あっ、なんかお腹減ってきたね、急いで作っちゃお!」
「お、おうっ!」

水原さん……



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