いつだって-2
下校時に私がこの前の巴ちゃんとの激しい喧嘩に不安を沢山口にするものだから心配になってそのまま私の家へ行く事になり。
「ゴメンね、心配掛けちゃって。」
「いいよ!あんな事があったら誰だって、それに君と伊吹さんが大の仲良しだって事、僕知ってるから。」
「風馬君。」
部屋に招き、母が得意先の方から頂いたイチゴを彼に振舞ってあげて。
「…私、あんな事言うつもり何てなかった。」
「……。」
「ただ彼女ならそういう所も分かっていると信じていて、それなのに浮気して。」
私の愚痴も泣き言も全て聞いてあげよう、そう言わんばかりに口を一切出さず。
「まぁ、それはお互いを想っての事だしね。」
「うん、けど…。」
私が彼女に言ってしまった事。彼女が私に言った事、お互い傷つけ合ってしまい…。あれからもう三日は経つがお互い目も合わさず、合ってもキッと睨んできて。
あの喧嘩でお互い言った聞いた事を昨日の事のように思い返し、彼女の頬を引っぱたいた手にすっと目を下ろし、見つめる。
「電話は、しないの?」
お茶の入った湯飲みを口にしてる時に聞いてきたので思わず目を開き慌ててそれを置き返答する。
「そんな!無理だよっ!出来っこないって。」
本当はそうするのが一番なんだろうけど、……怖いな、向こうはまだ怒ってて「何か用?もうアンタは私の友達じゃないんだからもうかけてこないでよっ!」とか言われたらと思うと。
このままじゃ電話しなよと言われそうで話を逸らす。
「そういう風馬君こそ大丈夫?」
私が巴ちゃんとの喧嘩を話したがばっかりに原因である一条君の家に押し掛けたそうでそこから私と同じ結末を迎えたようで。
「気にしないで、君はただ報告をしたに過ぎない、僕だって前々から一条君には気になってたし。」
「せめて二人だけでも仲直り出来ないかな。」
「んまぁー皆仲直り出来たらいいね、僕もなるべく彼と向き合えるようにする。」
「っ!!」
どことなくその発言に勇気を貰えたような気がした。
すると不意に彼女との想い出がめぐるめく頭に浮かびだし。
「若葉ちゃん。」
ケータイを手にする私に驚く彼。
「…やっぱ、駄目だよ私、彼女の居ない日々何て。」
そう、いつだって私の隣には巴ちゃんが居た、困った時も悩んでいる時もどんな時だってそんな彼女が居ないなんて。
「私、電話してみる!」
「無理しなくてもいいよ。」
彼の優しい言葉がまるで寒くて眠い朝に掛かる暖かい布団のようだ、けどそれを振り払い勇気を持ち。
「このままじゃダメなの、ずっとこんなのが続くなんて私嫌だから。」
ケータイ画面から普段は何とも思わない彼女の名が示された画面がこの時ばかりはとても重く感じ、手に汗も出てきた。
「……。」
そして少しの間の後、人差し指を発信ボタンに触れる。
横で私をじっと見守る彼。
さぁ!白黒ハッキリさせよう。