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【SM 官能小説】

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宴 〜絆〜-9

胤真は微笑んだ。
「……そう見えるか?」
芳樹はうなずく。
「違うとでも?」
胤真は苦笑した。
「図星。昔っから、俺は智佳が好きだ」
ストレートな答に、芳樹は片眉を吊り上げた。
「初めて智佳と会ったのは、十年前の今頃だな」
問わず語りに、胤真は出会いを話した。
六年前の甘苦い一夜まで、できる限りを話す。
「……で、一番驚くのはこいつは俺が今も親にすら悟らせていない本性を、初対面のくせして本能的に嗅ぎ付けたって事だよな」
洗いざらいを喋って、胤真は苦笑する。
「……最初のうちは、本当に監視していただけなんだ。智佳を好きだとは、微塵も思わなかった」
「けど、今は?」
「ベタ惚れ」
はっきりした答に、芳樹はずっこける。
「だいたいなあ、忠誠を誓わないから監視し続けるなんて名目で十年も傍にいるなんて、普通しないだろ?」
「ああ、なるほど……で、草薙さんはその夜の事を思い出してるんですか?」
「いいや。普段のそぶりからして、全く思い出してないな」
芳樹は再びずっこける。
「最近どうでもよくなりかけてるが……俺とのセックスに順応してM性は目覚めたから、プレイは喜んで受け入れる。だけど、何で思い出さないのかなあ?」
胤真は指で、智佳のぷにぷにした頬をつついた。
くすぐったかったのか、智佳は『んん……』と呻いて寝相を変える。
「……そりゃノーヒントなのがまずいんぢゃないですか?」
「いや、頭のキレは悪くないからそのうち思い出すはずだが……思い出せなかったらそれはつまり、コイツにとって俺と初体験しかけた事は忘れたいくらいに嫌な思い出という結論が導き出される訳で、ヤだよなあ……」
胤真はため息をつく。
「だいたいあの時、何で誘いかけてきたのかすら今もって謎のままなんだ」
「……聞きたくても聞けないですね」
「そういう事だ」
沈黙が、落ちる。
二人の少年が愛してやまない二人の少女の寝息だけが、室内に響いた。
「で?」
沈黙を破ったのは−胤真。
「そっちは?智佳は再従姉妹だから血の関係は薄くて、俺は踏み出しやすかった。けど、そっちは実の妹だろ?かなりの葛藤があったんじゃないかと推測するが」
「葛藤、ね……」
芳樹は苦笑した。
「二年くらい前ですか……何かの拍子に、こいつ最近乳が膨らんできたなあなんて、邪な目で見てしまったんです」
芳樹は真矢の頬を撫でる。
「その時はもちろん、自制しましたよ。『実の妹に手を出すなんて、獣すらやらない鬼畜な真似をする気か!』ってね」
「……なるほど」
「でも、駄目でしたね。一度そういう目で見てしまった妹は、もう性の対象にしかなり得なかった。だけど真矢は僕がそういう目で見ている事は知らないから、目の前で平気であられもない格好をしたりする」
状況がありありと想像できて、胤真は眉をしかめた。
「真矢への妄想を断ち切ろうとして、冷たく接した事もありましたけど……どうしても駄目だった」
芳樹は、真矢の額を撫でる。
「潤んだ目で『お兄ちゃん最近冷たい……』なんて拗ねた風に言われた時点で襲い掛からなかったのが、今でも不思議なくらいです」
「……分かるよ。時々智佳も、妙に誘うような仕草をする事があった」
芳樹は微笑む。
「で、結局。うちの両親、結婚記念日前後に休みを取って二人きりで旅行に行くんですけど……その旅行中に襲い掛かって、真矢をレイプしました」
顔を歪めての告白に、胤真はうなずいた。
自身も、似たような事をしでかしているのだから。
「両親の旅行中は学校へも行かずに、狂ったようにヤリまくりましたよ。用意させたメシ食ってても風呂入ってもテレビ見てても、真矢を犯すか舐めるかいじるかしゃぶらせてるか……避妊なんて考えないで、真矢をめちゃくちゃの精液漬けにしてました」
芳樹は、ため息をつく。
「僕に奉仕したくて先輩に相談したと言ってたそうですけど……本当のところこいつは今まで、僕にまためちゃくちゃにされるのが恐くて命令に従っていたんでしょう。草薙さんが先輩のする事を喜んで受け入れていたのとは、雲泥の差がありますよ」
胤真は微笑んだ。
「そこで、です」
芳樹は、考えていた事を切り出した。
「僕と真矢は先輩と草薙さんに比べればまだまだ初心者もいいところだと思います。だから……ご指導、願えませんか?」
「指導?」
胤真は怪訝な顔をする。
「ふむ……」
しばしその言葉を検討し……胤真はうなずいた。
「二人より四人の方が、智佳もいい刺激が受けられるかも知れないな。よし、時々は四人で集まって、楽しくやろうじゃないか」
「よろしくお願いします」
芳樹は微笑んで、片手を差し出す。
その手を、胤真はしっかりと握り返したのだった……。


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