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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第2章 新鋭女刑事…だった頃-6

夜の街に色とりどりのネオンの光が浮かび上がっている。朱音から見れば一見どれが風俗店でどれがキャバクラなのか区別がつかない。店の表に貼られているキャストの写真はどれも男ウケしそうな女性ばかりだ。もし自分みたいな鉄仮面が働いても誰にも相手にはされないんだろうな、そう思った。

桜町を歩く男性もタイプは色々だ。既に一杯やってきて、その勢いで風俗店を楽しそうに品定めするグループ、駐車場に停めた車から降りると周りには目もくれずお目当ての風俗店へそのまま入って行く男性、どこにしようか一人で悩みながらうろうろしている男性、肌の露出の多い煌びやかなドレスにコートを羽織った派手な女性に腕を組まれニヤニヤしながら歩いている男性…、それらみんな、昼間はまた別の顔で仕事をしたり学校に通っているのだろうが、昼と夜で、まさに男と言う生き物の陰と陽の姿を見たような気がした。夜のネオン街はまさに男と女な欲望の渦巻く場所なんだなと朱音は思った。

(て事は…)
考えついた事を島田に言おうとして顔を向けると、島田はすぐ脇を通り過ぎた、俗な言い方をすれば『堪らない女』に目を奪われていた。朱音は一緒呆れた顔をすると、咳払いをして島田に言った。
「この場合、不審人物となるのは明らかに遊び目的で来てなさそうな人間ってなりますね?」
慌てて顔を向ける島田。
「そ、そうだな。」
「あと10分もすれば風俗店は営業終わります。まず風俗店で働く女性が帰る時間の様子を探りましょうか。」
「そうだな。分かった。」
島田は駐車場に車を停め朱音とともに通りを歩く事にした。

(…、私のポジションって一体何かしら…)
自分の服装を見て思った。普段捜査に着ているスーツにブラウンのコートを羽織った自分は、お世辞にでも水商売をしている女性には見えない。当然風俗店目当てにも見えない。昼間は周りに紛れて全く目立たないが、この地味さはネオン街では異様に目立つ気がした。明日は似合いもしない派手な服を買ってこなければマズイかな…、そう思った。

すると前方から来た酔っ払いのサラリーマンに絡まれた。
「うぃぃっ!おっ!いーなぁ、おじさん!こんな若い子と不倫っすか〜!?ヒック!」
(ふ、不倫か…!)
ネオン街での今の自分のポジションは不倫する女なんだと気がついた。間違っても水商売している女には見えないし、まさに仕事帰りにネオン街を中年の男性と歩いている…、確かにそれ以外の例えがない程にピンと来る。そう言えば一つ裏の路地にはラブホテルも点在している。酔っ払いの目は確かに間違っていないと感じた。

「ラブホ帰り〜?いーなぁおじさん、こんな美人とハメハメしてきたんでしょ?うらやましー!」
島田はメンドくさそうに答える。
「だろ?やっぱ若い女は最高だよ。」
な、何を言い出すの!?的な顔をする朱音。
「いーなー!俺にも貸してよ!」
「ああ、今度な。」
「マジっすか〜!?」
「そのうちな。じゃあな!」
「うぃ〜っす!」
島田は軽くあしらい通り過ぎて行く。
「ち、ちょっと…!貸すとか何なんですか!?」
「あーゆー輩は逆なでしないで軽くスルーするのが1番なんだよ。酔ってからかいたいだけだ。現に、ほら見ろ。」
朱音が振り返ると、自分らとした会話など全く覚えてないような様子で騒ぎながらキャバ嬢らしき女性に絡んでいた。

(だ、ダメだ…、この場所には一生慣れそうもないわ…)
物事をいつも真剣に受け止めてしまう自分にはこのネオン街の灯りの下で生きて行くのは絶対に無理だな、そう思った。


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