初めての後輩-1
オレンジ色に染まる果てしなく広い大空、鳥達が鳴き声を挙げ、優雅に天空を舞う。
「先輩!今日は私何かの練習に付き合ってくれてありがとうございます!」
私が所属する吹奏楽部、今から三日前に新入部員として私たちの元へ現れた一年の後輩の、岬茜ちゃん。明るく前向きでちょっぴりおっちょこちょいだけど何事にも一生懸命で努力家の彼女。
この日も慣れない楽器に手を触れつつも先輩方に必死についていこうとしていて、その姿はもはやちょっぴり可愛く見えてしまい。
「ううん!私も丁度貴方に教えてあげたいって思ってたから。」
「へっ!?……っ!御免なさいっ!そんなに下手でしたか、私の。」
「違う違う!演奏はとても上手だったよ!…ただあまりにも練習熱心なもので…まぁ言わば気にいっちゃったんだよね、茜ちゃんの事。」
「柊、先輩…。」
先輩、かぁ。他人にそう呼ばれるとは思ってもなかったから少し照れるな…。
「あっ!御免ね気安く茜ちゃん、何て…まだ出会って三日も経ってないのに。」
「いえいえっ!そんな!私の事は何でも、それに三日しか…って、日数の問題ではなかと存じます。」
あは♪存じます…って、謙虚でなのに面白いなーこの子……まるで、あの頃の私みたい。
「うーーん!一杯練習したら少しお腹すいちゃったなーどっか良い所ないかなー。」
片腕を天に掲げるように伸ばしもう一方の手でその腕を掴む茜ちゃん。
「だったら!この近くにドーナツ店があるからそこにしない!?」
「あっ、良いんですか!?先輩!」
私の誘いに目をキラキラと輝かせる。