第10話『学園歌斉唱』-2
「学園全員の健闘を祈念し、応援団総員による『勝利の舞』に入る。 団員用意ッ」
「「牝忍ッ!」」
白襷と白手袋を纏った團長が正拳を一突きし、背後の団員が『太鼓』をつくる。 2人1組で太鼓台になり、Cグループ団員が太鼓となって尻を掲げ、もう1人が撥で尻を乱打する太鼓。 たちまち2組の太鼓が組みあがった。
「三、三、七拍ォ子ッ……せいっ」
プッ、プッ、ブッ。 プッ、プッ、ブッ。 プップップップップップッブッ。
左右にキレよく團長が尻を振り、併せて馴染みある破裂音がグランドに響く。 オナラ……けれど単なるガス排出では決してない。 尻の動きと一体化した、濁音までキレよく聞こえる、勢いがある見事な放屁だ。 人前で連続放屁した團長は、真剣そのものの顔付で、今度は客席にお尻を向ける。
パンッ、パンッ、パァン。 パンッ、パンッ、パァン。 パンパンパンパンパンパンパァンッ。
自分で自分のお尻に激しい平手打ち。 見舞った尻ビンタで刻む三々七拍子が、たちまち赤く腫れた尻に奏でられる。 真っ赤になるほど強く打ち据えているというのに、顔だけ振り向いた團長は、痛がる素振りは全く見せない。
「いよぉーっ」
團長の掛け声に合わせ、
バシバシバシッ、ビシビシビシッ、ビシバシビシバシビシバシビシィッ。
今度は二台の太鼓だ。 ピタリ揃った三々七拍子を奏で、その音色に合わせて拳を上下左右に突く團長。 水平に腕を振ったり、真っ直ぐ振り下ろしたり、上半身をキビキビ動かしたかと思うと、今度は見事に拡がりきった陰唇を股の動きだけで拡げ、上下左右、更には前後に膣を振る。 下半身と上半身がまるで別の生き物のように動き、くぱくぱ、時には膣が閉じたり開いたり。 三々七拍子のリズムに乗った、代々團長に受け継がれてきた伝統の舞だ。
「……お見事。 さすがは團長、というべきでしょう。 ヘンテコで不自然な踊りなのに、いつのまにか團長のオマンコに魅入っちゃうから不思議ねぇ」
「伝統ですから、初代の振付を踏襲してるだけですよ」
「よほど優秀な方だったんでしょう、最初の応援団長さんは。 ただ、一挙手一投足コピーし続けるっていうのも、それはそれで凄いことと推察します。 今年も先輩に負けない、立派な応援団になってます」
「そういっていただけると有難いです。 團長に代わって御礼申し上げます」
観客は私と8号だけなので、必然團長の演技は常に私に向いている。 開閉するオマンコから白っぽい汁がしぶいているのは、あれは潮かマン汁だろうか? 汗や尿ではなさそうだ。 そうこうするうちに團長が演舞を止め、握った両手を高々と掲げる。 それまで待機していた吹奏楽部員が、団員の太鼓に合わせて演奏を始めた。 学園歌に続く『応援歌』だ。
ラパパーン、ラパパパーン、ラパパパン、パン、パァン……。
学園歌と同様に、團長が恥骨を振って拍子をとる。 時折『あっはぁーん』『うっふぅーん』『おまぁーんこぉー』といった合いの手を團長が入れ、続いて団員が唱和する。 『そこっ』『いいっ』『もっとぉっ』等々、團長、そして団員達が叫ぶたびに、誇張ではなくグラウンドの空気が震え、遠くで聞いてる私ですら鼓膜が痺れた。
「すごい声……どこからあんな声が出せるのかしら」
「それは、團長ですか? それとも団員でしょうか?」
「両方ですが、如いて言えば團長さんでしょうか。 よくぞ1人で、と思います。 本当によく透る声だこと」
「鍛えさせてますから。 声は応援団の命です」
「喉が潰れないか、聞いてるだけで心配になります」
「その点はご心配なく。 潰れてから回復するまでがセットです。 繰り返して今に至る訳で、今更潰れたところで問題ありません。 一晩寝れば回復します」
「……どういう訓練で喉を作るか、改めてお聞かせいただければ」
場をとりなすつもりで呟いたあと、ふと思う。 簡単に誰でも出来るなら、いつか本当に教えて貰うのも悪くない。 3学期の合唱コンクールに備え、声量アップに繋げられるかもしれない。 というか、8号に依頼して、2組の声量を鍛えて貰うのはどうだろうか……。
などと考えているうちに、応援歌斉唱も区切りがついた。 吹奏楽部長のA4番と團長のA0番が揃って私達の元に駆けつける。 私からは『合奏が応援団の声に負けている。 もっと音量を上げる練習をしろ。 音量が小さい過度として、全員オマンコ丸出しのマーチング行進でグラウンド10周』を命じる。 8号は『リズムが吹奏楽より雑だった。 もっと調子を合わせて演技しろ。 拍子がとれない過度として、全員尻振り2000回』を命じていた。 A0番とA4番は、それぞれ、
『牝忍!』
『まんっ!』
と返答一下、後輩の元へ私たちの指示を伝えに駆けてゆく。 これにて合同練習は幕を下ろした。