家政婦との小旅行-19
背凭れを掴んでいた片腕が滑り、バランスを崩した僕は侑香の身体に抱き付くように転んでしまっていた。
「えぇ、何やってんの」
「いってぇ」
「面白い人。どうしようもない男なのね」
侑香は子供をあやすような優しい声で抱きしめてくれていた。若い汗で湿った裸体は優しい温もりに包まれていた。抱きついた僕を間近で見下ろす侑香は笑顔で笑っていた。
「仕方ない人。シャワー、浴びよ」
若い声だった。若い身体に包まれる幸せを体感した僕は、本物のおっぱいから聞こえる鼓動に耳を澄まして目を閉じていた。
「どうしたの?ねぇ、起きてますかぁ?」
可愛らしい声だった。
至近距離で顔を上げた僕の視界に可愛らしい純白の女の歯が綺麗に輝いていた。均等に並ぶ侑香の歯並びは、何一つ傷がない完璧な美しさで手入れされていた。
「ちょっとぉ、重いよお。起きてますかぁ」
面白そうに笑う侑香は、長い腕で抱きしめて綺麗な美しい女の咥内を見せてくれていた。
「ねぇ、重い。重いんですけど!」
自然の眉毛が天窓の光に照らされて毛先の水滴を虹色に輝かせていた。見たことのない光景だった。小顔に置かれた睫毛が怒ったように強い角度で瞬いて瞳を見下ろしていた。
「なぁ、触っていいか?」
一体、何を触りたいの?と問いかけてるように睫毛を瞬かせていた。咄嗟の行動だった。細い腕の外を回した指先が、綺麗な前歯に触れていた。びっくりした侑香は瞳を怯ませて目の前で触られる指先に焦点を合わせていた。綺麗な前歯はキュキュと音を聞かせて指先に弄ばれていた。
定期的に落ちる水滴の音と歯を触られる猥褻な音が浴室に響いていた。
生脚の内腿を押し上げて重い男を退かせようとする侑香の行動が、倒錯した浴室を理解して若い呼吸の吐息に変えていた。
「ねぇ、何やってんの?」
笑顔で凍りついた侑香は、震える声で問いかけていた。体を抱きしめていた両腕を外して抱き掛かる体を押し退けようと両手で胸板を押し出していた。
「綺麗な歯だ。美しいよ」
「うん。でも、ちょっと怖いよ」
押しのけられた体を支えるために片腕を背凭れに置いて指先は前歯を触り続けていた。唇を閉じようか躊躇う侑香は、怯える瞳が震えていた。焦る侑香の額には、大量の汗が水滴を浮かばせ顎に向かって流れ落ちていた。
「ありがとう。気持ちいい感触だったよ」
「貴方、凄い事するのね。こんな事、初めてされた。凄い人ね」
体を起こした僕は、熱いシャワーの水圧を確かめて椅子で凍りついた侑香の身体を解すように温かいシャワーを浴びせてあげていた。
「温かい。優しいのね」
透明の椅子に座る侑香は、両肩から流し始めた熱いシャワーに目を細めて笑っていた。汗で滑った色白の太腿にシャワーを向けてヒールを脱ぐように声を掛けてあげていた。
「脱いでいいの?」
「当たり前だ。綺麗に汗を流そう。それからだ」
「それからねぇ。。面白い人」
長い腕を伸ばして几帳面にレッドソールを脱いで白いタイルに並べて椅子から立ち上がっていた。ヒールを脱いだ侑香の背丈は僕より低く、可愛らしい童顔が驚く程の小さな造りで僕を見上げていた。
「170cmだったかな?」
「そう。でも顔が小さいからね」
得意顔で笑っていた。身体を流してあげた侑香は、頭を洗うから貸してとシャワーを手に取り、天窓に顔を向けて浴びる様に顔面にシャワーを掛けて瞳を閉じていた。
透明の椅子に座り直した僕は、天窓に向けた小顔で汗を流す侑香の姿を微笑ましく見守っていた。20歳の若い仕草さだった。薄化粧を躊躇いなく流し落とす行動は、若い女の特権だろう。側面にシャワーを掛けた侑香は、ドイツ製のシャンプーを手のひらに載せて、背中に掛かるシャワーを使って泡立て、跳ねる毛先に塗り込ませるように頭を洗っていた。両腕を頭にあげた綺麗な両脇に、柔らかい水流が滴る様に流れ落ちていた。
美しい光景だった。
ロケットのようなボインが水滴を弾き飛ばす様に辺りにシャワーを撒き散らかしていた。下乳に流れる温かいシャワーが細いウエストに向かって滴り落ちて、艶めかしい太腿から脚首に向けて清流のように背中から溢れるシャワーが流れ降りていた。
「ねぇ、そんなに見ないでよ」
クリーム色のシャンプーを泡立せた侑香は、指先で若い艶の髪の毛を労わるように流し始めたところだった。透明の椅子に体を預けた僕は、天窓に顔を向けて南国の鳥が群れになって飛び交った空を見上げて現実に戻ったように大きく空気を吸い込んでいた。
「えーい!」
侑香は満面の笑顔で、椅子にシャワーを向けて無防備な僕に熱っついシャワーを浴びせて驚かせていた。