家政婦との小旅行-11
アスカと性行為を終えた僕は広いリビングに配置された一脚のビンテージソファーに腰を下ろしていた。エレナが戻るその時までゆったりと流れる子供の情景に耳を傾け、甘い香りを漂わせるプルメリアのピンク色の花に顔を向けて静かに目を閉じていた。
「おまたせ。少し長かったかな」
「問題無い、OKだ。今回はエレナが寛ぐことを目的にしいてる。だから、大丈夫。好きにしたらいいさ」
「素敵な香り。このお花、室内で咲かせるのは難しいのよ」
「その通りだ。普段は外で彼女達が育てているんだろう。だからこうやって花を咲かせてくる。立派な仕事振りだよ」
「凄い。あとで色々と教えて貰っておくね」
バスローブを羽織ったエレナは斜向かいの四人掛けソファーに座り、プルメリアの花を見上げて高い鼻先を向けて瞳を閉じていた。
艶々しい長い巻き髪を両肩に靡かせ青い瞳を閉じて小顔をあげる素顔は、Beautiful Blondを代表する様な美しさだった。
「そういえば、そろそろ手配した洋服が届く頃だ。好きな物を選んで着替えてOKだ」
「エッチなドレススカートに着替えて欲しいって事かしら?」
悪戯に微笑むエレナに声を上げて笑ってしまっていた。
「洋服、届きました」
カートに乗せられた梱包が山積みに並べられていた。綺麗にラッピングされた梱包は、高級ブランドから取り寄せた商品だと教えているようだった。カートを押す家政婦は、耳かけ前下がりのショートボブが似合う可愛らしい女性だった。小顔の頬にピンクのチークをつけて透明感ある大きな瞳で若々しい美しさに溢れる女性だった。
「テーブルに並べてくれるか?」
「OKよ」
テーブルに梱包箱を並べる後姿は、ナチュラルに毛先をカールさせたベージュの前髪が軽やかに耳の後ろでブローされボリューム感溢れるうねりで躍動しているようだった。
「凄いなぁ。その髪型とても似合うよ」
「これね、ナチュラルなのよ」
ごゆっくりと声を掛けて部屋を後にする女性に見惚れた僕は、斜向かいに座るエレナの嫉妬の視線に引き笑いすることしかできなかった。
「本当に可愛いかったわ。あの女性は日本人っぽい顔の作りだったね」
「確かにそうだな。最初の歓迎の時、居たかな?」
「さぁ。初めて見たわ。豪華なペンションって色々なことがあるのね」
嫉妬しているエレナだったが、目の前に並べられた新品の洋服箱に瞳を輝かせて梱包を解き始めていた。グレーのTシャツ数枚を手配したはずだが、ここまで手配したアスカの調達力に唸ることしかできなかった。さっきの女性、もしかしたら新たに呼んだ日本人じゃないだろか。アスカに会った時、その事を確認しようと梱包を解くエレナに微笑みながらアスカの姿を探していた。
豪華なパーティドレスを手に取ったエレナは身体に併せてサイズを確かめていた。
「凄い。背丈がぴったり合うわ」
「一流の身体には高級ブランドが答えてくれる。当然といえば当然か」
BeautifulBlondに相応しい華麗なドレスは見事な寸法でエレナの背丈に仕立てられていた。一流モデルの様に、バスローブにドレスを併せて振り返るエレナの笑顔は溜息が溢れるほど美しかった。美女とはこういう女性を意味するのだろう。本当に似合うよ。と目を細めて頷いてあげていた。
「じゃ、これにする。着替える部屋は教えて貰ってるから問題ないわ」
スペイン語で家政婦を呼び出したエレナの元にボディーマッサージをしていた数人の女性達が駆け付けていた。飛び抜けて背丈が高いエレナを囲う若い女性達は、圧倒的なエレナの美しさに歓喜を挙げてはしゃいでいる様だった。21歳のエレナに歳が近い事もあるのだろう。楽しそうな彼女達に気後れした僕は、じゃぁ、湯船でゆっくりしてくるよ。と告げて観衆に手を振るかのように美しい笑顔で手を振るエレナを確認してリビングを後にしていた。