第六話:サキュバス・イン・ザ・ハロウィン-5
「う、薄井君!?ど、どうしてここに?」
「ウン、僕の親戚がこの近くに住んでてね、今日はハロウィンだから、遊びに来たんだぁ」
「そ、そう・・・」
そう返事を返したものの、私は困惑して居ました。こんな所で薄井君に会う何て、思っても見ませんでした。薄井君は、そんな私に気づき気さくに話し掛け、
「千聖ちゃんは、サキュバスの仮装してるんだねぇ。その人はお姉さん?」
「ウフフフ、千聖のママでぇす!」
ママは、薄井君にお姉さんと言われて、ご機嫌でピースして居ました。ちょっとは知り合いに会った事驚いてよねぇ・・・
「エッ!?そ、そういえば入学式で・・・ぼ、僕は千聖ちゃんのクラスメイトで、薄井って言います」
「知ってるわよ、この前千聖にプレゼントくれた子でしょう?」
「エッ!?は、はい・・・」
薄井君は恥ずかしそうに俯いたけど、私も困惑しました。だって、ママはこの姿で知り合いに会っても、絶対気づかれないって言ってたのに・・・
「ママ、話が違うじゃない!?思いっきり私だって気づかれているんですけど?」
「不思議ねぇ!?もしかしたら・・・この子のご先祖に魔族が居たのかも?」
ママの口から、魔族何て言葉が出たから驚いちゃった。魔族って、ママみたいに人間の世界に一杯居るのかなぁ?
私は、薄井君のご先祖様に、魔族が居るとどうなるんだろうかと思い、ママに問いかけてみました。
「ねぇママ、ご先祖様に魔族が居たらどうなるの?」
「そうねぇ・・・隔世遺伝しているなら、私達の顔がハッキリ分かるわね」
「そんなぁ!?」
私は見る見る顔を赤らめました。だって、クラスメイトにサキュバス姿を見られるだ何て、恥ずかしくて・・・
ママは何を思ったか、薄井君を熱い視線で見つめました。薄井君もちょっとドキッとしたようで、顔が赤くなってました。
「ねぇ、薄井君って・・・・・童貞?」
「エッ!?・・・・・ハイ」
「まあ、真っ赤になっちゃって、可愛い」
ママったら、私のクラスメイトまで誘惑し始めたんです。でも、ママが後で記憶を操れば、私と出会った事も忘れるだろうと思うと、そのまま黙って成り行きを見守りました。ママは、薄井君の耳元に甘い声で囁き、
「ねぇ、良かったら、おばさんで初体験してみる?」
「エッ!?ち、千聖ちゃんのお母さんと?」
私は、彼だった智君に続き、クラスメイトの薄井君もママが誘惑した事で、自分もこんな風になるのかなぁとボンヤリ考えて居ると、薄井君は激しく首を振りました。
「こ、困ります・・・ぼ、僕、好きな子が居るんです」
「まあ、そうなの!?でも、その子と付き合えるか分からないわよねぇ?」
「それはそうですけど・・・」
「こんなチャンス、二度と無いかも知れないわよ?おばさんの身体って・・・魅力ない?」
「そ、そんな事は・・・」
「なら・・・ねぇ?」
ママは、薄井君に拒否されたのがショックなようで、本気で薄井君を堕としに掛かりました。薄井君は、目を閉じながら再び激しく首を振り、
「ぼ、僕は・・・千聖ちゃんの事が好き何だぁぁ!その千聖ちゃんのお母さんと、エッチな事何て出来ません!!」
「エッ!?」
私は思わず驚きました・・・
薄井君は、今ハッキリ私の事を好きだって言ったんですから、正直私は、薄井君に恋愛感情何て持って居ませんでしたが、ママの誘惑を断ち切り、私を選んでくれた事が、私の胸を打ちました。ママは私の背を押し、
「アァァア、振られちゃった・・・この子は千聖に任せるわ」
「エッ!?ウ、ウン・・・」
ママは私にウインクすると、この場から離れました。少しの沈黙の後、私から薄井君に話し掛けました。
「ねえ薄井君、さっき言った事本当!?」
「ウ、ウン・・・僕は優しい千聖ちゃんの事が、前から大好きだったんだ。でも、吉田君と付き合っていると思って・・・でも、あの時千聖ちゃんが否定してくれて、僕は嬉しかった」
私は、正直な薄井君に、隠し事をしているのが嫌になって来ました。私がサキュバスだという事を、正直に打ち明けてみようと決心しました。
「薄井君、今の私の姿って仮装だと思って居るよねぇ?」
「ウン」
「でも・・・違うの!私が学校休んだ事有ったでしょう?実はあの時、オークって怪物に犯されて、私は処女を失ったの・・・その時、私はサキュバスになっちゃったの」
「エッ!?」
「信じられないよね?でも本当なの、私のママ・・・実はサキュバスで、私にもサキュバスの血が眠っていたようで、突然目覚めちゃったの!ほら、背中の羽や尻尾も自由に動かせるし、練習して空も飛べるようになったの」
私は薄井君にそう打ち明けると、背中の羽を羽ばたかせて、薄井君の目の前で宙に浮かび上がりました。薄井君は呆然として居て、私は再び地上に降りると、
「ねっ!?これで信じてくれた?私は、薄井君が思って居る様な女の子じゃないの・・・サキュバスになっちゃって、今さっきも本番こそしなかったけど、男の人と・・・幻滅したでしょう?」
私は、薄井君に軽蔑される覚悟で打ち明けましたが、薄井君はゆっくり首を振りました。
「ウウン、サキュバスかどうか何て関係ないよ、僕は千聖ちゃんが好き・・・それは今でも変わらないよ」
私は思わず、胸がドキドキ高鳴りました・・・
私がサキュバスだって打ち明けても、薄井君はそれでも私を好きだと言ってくれたんですから・・・