終わらないハロウィンパーティー 〜狼は甘いものがお好き〜-9
「あれ? ほんとうだ。夢中だったから気がつかなかった。……まだ繋がってる。嬉しいよ」
彼の硬さは変わらない。
頬がカッと熱くなり、思わず顔をそむける。鎖がシャラリと鳴った。
身につけているものは最早、それのみだった。白いレザーの首輪。それはまるでわたしをこの場に拘束するかのよう──白いシーツに鎖が這うたびに、そう感じた。
「紗奈ちゃんって、いいにおいがする。香水とか、つけてる?」
「ううん、今日は……何も。ライブハウス内で、嫌がるひともいるでしょ?」
「そうだね。じゃあ、なんだろう。飴玉みたいな──甘いにおい」
そう言いながら、彼はそっとわたしのうなじのあたりに顔を埋めた。
彼の、女の子みたいな柔らかくてすべらかな頬があたる。ゆっくりと唇がうなじを撫でた。身体が震えるような悦びが走った。
「紗奈ちゃんも俺の身体に夢中になるよ。絶対。俺ら、かなり相性いいと思うからさぁ。夢中にならせて、俺なしじゃ生きていけないようにしたい。俺のことを好きにもならせる」
「……自信家なのね」
「君の秘密を知っているのは俺だけだからね。俺はどんな君をも受け入れられる自信がある。好きだからね、君のことが。ねぇ、紗奈ちゃん、自分を解放する気持ちよさを知ったら、もう元には戻れないよ。ハロウィンは1日だけだけど、俺の部屋に来ればいつだって『甘いもの』を君にあげられる」
彼が軽く腰を振って、わたしを煽った。
きゅんきゅんとするような甘い悦びが広がっていく。
「君は俺の『甘いもの』で、俺も君の『甘いもの』──こころと身体は繋がってるんだよ」
「でも……要くんはどうしてわたしのことを──」
「初めて君を見かけたときから、ずっと気になっていた。君の『清潔感』に惹かれて……汚してやりたいって思った。陥れるとか、そういうことじゃなくてね。でも、話しかけるタイミングすら、はかりかねていて──そうしたら、なんとライブハウスにいるじゃないか。しかも、いつもとは全く雰囲気が違う。びっくりしたけど、君のそのギャップにやられた。手に入れないと気が済まなくなった」
指を絡ませ、彼の重みを感じる。あたたかい肌が触れ合い、ため息のような声が洩れた。
わたしの一等深いところを彼がノックする。