第1話『体力トレーニング』-2
パサリ。 ザッと目を通してから教壇で一部コピーを取り、原本を返す。
「ど、どうでしょうか……? 結構メンバーは選りすぐったつもりなんですけど……足の速い順番とか、仲がいい組とか、体力的にも出場回数は揃えた方がいいかな、とか」
「……」
私は無言で原本に朱字を入れた。 いかにも無難で良識的なチーム表だ。 一番手っ取り早いのは私が全部直すことだが、それだと彼女たちが成長しない。
『0点。 適材適所が中途半端。 自分をフル活用していない』
余白に小さくメモを記し、29番に返す。 私が見る所、体力的には『29番』がずば抜けていて、あとは『2番』『9番』あたりが次点で続く。 器用さと頭脳なら文句なしな『22番』も捨てがたいし、不器用だけど一生懸命な『30番』もアリだ。 競技ごとにメンバーを変えるんじゃなく、常に最強メンバーを揃えることこそが戦略だ。 幼年学校の運動会じゃないんだから、横並びの御飯事(おままごと)に準じる必要なんてサラサラない。 脚が早いメンバーは、遅いメンバーより沢山出場するのが当然だ。あとは、のほほんとした29番が、私の意図を理解する素地を供えていることを願うのみ。
「あ、あれぇ……? 100点じゃなくて……??」
私がOKを出すと思っていたんだろうか? 『0点』の文字に29番が息を呑むんでポカンとしている。
「教官。 あのぉ、『1』が抜けてませんか??」
「……ふう」
これ以上ここにいるて次の質問がとんできたら面倒なので、私は教室を後にした。
……。
9月。 体育科的には何はさておき『体育祭』。
個別競技の練習を本格的に始める前に、まずやるべきことがある。 9月の第1週は、私は『基礎トレ―ニング』に決めていて、加えて『自主トレ―ニング』の方法も伝えるつもり。 体育祭はチームワーク、なんていう意見も耳にするけど、最後にモノをいうのはどこの世界も基礎体力だ。 夏の寮生活で鈍った体力を戻すためにも、また自分で自分の弱点を補い長所を伸ばすためにも、自主トレを始めるべきタイミングがあるとすれば、学園生活に慣れてきた頃合いの9月。 いつやるの、と聞かれれば満面の笑みで『今でしょ』と答える。
具体的に鍛えておきたいポイントは『脚力』『腕力』『体幹』『膣圧』『肛圧』の5つ。 本当は『腕力』なんかは上腕二頭筋、三頭筋、広背筋みたいに筋肉ごとに区分けして鍛えられたら効果的なんだけど、限られた時間ではそうもいかない。
体操を終えた生徒達が第3姿勢をとったところで、
「体育祭ってのは瞬発力がモノを言うんだ。 持久力なんて今更鍛えても知れてるし、考えてもムダ。 20メートルくらいの短距離をダッシュするのが効率的だね。 休み時間の度に、5・6本ダッシュして御覧。 上手くはまれば一気に伸びる。 ただし漫然と走っても意味ないから、そこでおススメ、こういう器具がある」
生徒達が注目する中でポケットから取り出したのは、私手製のトレーニング補助具。 といっても直径5センチの円筒型エボナイト棒にリボンを4メートル結んだだけの簡単な器具で、私は『ランニング・テール』と呼んでいる。
「使い方はとっても簡単。 膣にエボナイト棒を半分だけ挿入して、リボンがついてる側は外に出す。 そのままダッシュして、リボンが地面につかないように走ってみ。 結構な速さじゃないと上手くいかないからさ。 この器具を使えば膣圧のトレーニングにもなるし、姿勢もよくなるから一石二鳥だよ。 論より証拠、ええっと二学期の体育委員は……29番か。 29番、前に出なさい」
「はいっ!」
ピョコン。 がに股の第3姿勢が跳ねるように背筋を伸ばし、トトッ、小走りに駆け寄ってくる。 中柄の体躯だが、動きはリスを彷彿させる小動物系。 私の前で馬跳びのウマをつくる。 お尻を私に向け、そのまま両手をお尻に回すと、
「よ、よろしくお願いしまぁす」
ほんの僅かに頬を赤らめるも、ガバッ、躊躇なく股間、そして大小陰唇を左右に拡げた。 牝にとってオマンコは神聖な女性の恥部にして、公衆に披露すべき象徴に過ぎない。 かといって完全に羞恥を捨ててしまうと単なる恥知らずに成り下がり、あくまで恥の塊である牝としての自分を受け入れたうえで躊躇うことなく恥を晒すのが、あるべき学園の牝の姿勢。 微かに顔を赤くする程度であれば、羞恥を表情に出したことを咎める必要はない。
「見辛い。 もっと伸ばす」
桃色の襞中央でぱっくり拡がった子宮への入口。 柔らかそうな膣壁まで覗けるのだが、一応さらなる服従を促す。