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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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高三の春-1

開花した桜が私たち未来ある学生を見下ろす中、少々肌寒い外に張り出されたクラスの座席表に皆ウジャウジャと集う。

「やった!またゆかりんと一緒だ!」
「おっ!原田とまた同クラか、しくよろー♪」

気の合う友達と再び一緒になれて歓喜の声をあげる者も居れば。

「え…、まじかよお前とクラス別じゃーん。」
「うっそぉー先生何考えてるのよぉー。」

クラス決めがどういう基準なのか分からないが、(大概はくじ引きだとか)友人と運よく同じクラスに学年が上がってもなれる人も居れば運悪くそれが叶わない人も。

「そーゆーアンタも他人ごとじゃないよー、彼。」

彼、と巴ちゃんから聞いて当然頭にパッと思い浮かべるのは風馬君、私の恋人。

彼女にそう警告され我に返り、当初の目的を果たすべく覚えのある名前に目をやる。

無数にあるように見えるクラスメートの氏名の数々、そこに…。

「あっ、巴ちゃん!」

3年1組、私の名前が記された所に伊吹巴、と書かれた氏名を目にとりあえず一安心し。

「やった、一緒だ!」

思わず飛び跳ね笑みを浮かべ彼女に目をやる。

「おほほ♪私も嬉しいぞよ、けど本番はこっからだ。」
「うん!」

彼女は知っている私がいかに彼を、風馬君を大事にしそして好きであるかを…。

すぐさま視線を座席表に戻し、小鳥遊風馬の氏名を探す。

「……。」

しかし中々見つからない。

沢山ある氏名から目玉を上から下と、ツーーとゆっくりと動かすもお目当ての名は中々目に出来ず。

「あら!」
「え…。」

すると突然巴ちゃんが声をあげる。

「あっゴメン、こんな時に。」
「う…ううん!それよりどうしたの?」

巴ちゃんは私のクラスでもない隣の2組の所に指を指す。

ま、まさか…。

彼女の指指す所に風馬君の氏名がのってるんじゃないかと背筋が凍る。

そりゃー別のクラスだとしても授業が終われば会いに行けば良いだけの事、別に死別する訳でもなきゃ転校する訳でもない、けど…。

調理実習、美術、体育、テストに修学旅行、それらを共に過ごせない。

何より教室で他のクラスメートと楽しく談笑する彼、黒板の文字を真剣にノートに書き写す彼の横顔を見る事が出来ない。

……そんなの、絶対に嫌!

私は恐る恐る彼女の指す所に目をやる、すると。

「……え?」

私はその氏名に顔が固まる。



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