高三の春-2
そこに書かれた氏名にはハッキリと。
「佐伯、君…。」
佐伯あたる…、隣のクラスに彼の名が書かれていた。
「よ、良かったぁー。」
ホッと胸を撫で下ろす。
彼、佐伯君は今もまともに登校は出来ていない。
この前彼の家に訪れた時も何処かやつれていて、けど彼から前向きな声を聞くことが出来て。
言っちゃあれだが、彼が私のクラスでなくて少し良かったと思う。そりゃまた私に復縁を要求する行為に出るとは思えないけど。
これなら良い意味で落ち着いてお互いの為になるでしょうし。
彼の名を目にし、そんな事を考えていると。
「うわぁーマジかよ!」
「うっそぉー私一人じゃない!」
同じクラスになれなかった不運な人たちの悲鳴が向こうから響き。
やめてよ。
その声は今の私にとっては不安を煽るもの以外の何物でもなく。
すると、そこで。
「あ!」
巴ちゃんが声をあげる。
えっ、今度は何!?