高三の春-10
今にも倒れそうな私に手を差し伸べ、そして私が本来運ぶべき荷物を軽々と運んでくれる一人の体格の良い背の高い少年が。
まさか、蓮っ!?うんな訳ない、私の為に追っかけてくるだ何て…。そもそお髪も爽やかな感じに短めで。
そして私はその人が誰なのか知っていた。
「さっきはありがとうね。」
「いいけど、あんま無理そんなよ巴。」
「うん、黒崎。」
作業を彼のおかげでどうにか乗り切ることが出来、休憩時間となり休憩室で自販機のジュースをテーブルの上に置き、ゆっくりと椅子に腰を下ろし話を弾ませる。
彼の名は黒崎隼人、中学の時同じクラスであり……元彼だ。
「にしても奇遇だよな、まさかバイト先が同じだ何て。」
「ホント、アンタも変わってないよねー。」
「ははっ!お前もな……、どうだ!?調子の方は?もう一年もすれば卒業だもんな。」
「調子か?……うーん。」
「巴?」
それを聞かれ急にさっきの事を思い出し気分が沈む。
「あっ悪い!なんかまずかった?」
「あっううん!……ただちょっと、ね…あはは。」
「お前。」
「あっ、そろそろ終わるね、おーし!今度はうまくやるぞー!」
立ち上がりジュースを一気に飲み欲しごみ箱に投げ捨て逃げるようにこの部屋を後にする私。
「巴…。」
そんなよそよそしい私の背中をじっと見つめる隼人。