第五話:お婆ちゃんがやって来た-1
お婆ちゃんをよく見てみると、髪型は前髪が伸びた黒のボブパーマ風で、私達がサキュバスになった時に着ているような、黒のセクシーなランジェリ−風な衣装を身に纏い、その下には、きっと豊満な肉体が隠されて居るんだろうなぁと想像出来ます。ママは二十代後半に見えるけど、お婆ちゃんも四十前後にしか見えない若々しさをしていました。
(私の・・・お婆ちゃんかぁ・・・)
お婆ちゃんは、ママからの伝言を伝えに行ったキャリィから、ママと私の危機を知らされ、私達家族の危機を救いに駆け付けてくれました。でも・・・
「このバカ娘ぇ!」
「お、お母様ぁ!い、痛い!!」
その事は大変感謝していますけど、今私の目の前では、悪い事をした幼児を折檻する母親のように、お婆ちゃんは、ママのお尻を叩き続け、ママが許しを請う姿がありました・・・
「アァァン、お母様、許してぇ!」
「うるさい!家出したと思ったら、人間と結婚して子供も出来ただぁ?おまけに、オーク如きの性奴隷に成り掛ける何て・・・バカ娘ぇぇ!!」
「アァァン、だってあのオーク・・・進化の宝玉を体内に飲み込んで、スーパーオークに・・・」
「あたしに口答えする気かい!?」
「アァァン、もう許してぇぇ!」
ママは、何度も何度もお婆ちゃんにお尻を叩かれ、ママの大きなヒップが益々大きくなりそうでした。私とパパは、微妙な母娘関係のママとお婆ちゃんの間に中々入れず、ただ見つめて居るしか出来ませんでしたが、私はまだ横たわるオークが目を覚ましたらと思うと、気が気ではありませんでした。
「あ、あのぅ・・・このオークって、このまま放っておいても大丈夫何でしょうか?」
お婆ちゃんは、チラリと私を見ると驚いた表情を浮かべました。私は、お婆ちゃんが来た時にはサキュバスだったんですけど、お婆ちゃんは今気づいたようで、
「ン!?あんたのその姿・・・あんたが千聖かい?」
「は、はい・・・初めまして、ママの娘の千聖です。お婆ちゃん、危ない所を助けてくれてありがとうございました」
私はそう言ってお婆ちゃんに頭を下げると、お婆ちゃんはギロリと私を見つめました。
「お婆ちゃん・・・だと!?」
私は動揺しました・・・
私がお婆ちゃんと呼んだ事が、気に入らなかったんでしょうか?
お婆ちゃんは、確かにクラスのお母さん達と比べても、若々しさを保って居て、お婆ちゃんの方が若く見えるくらいです。だから、年寄扱いされた事が嫌だったのでしょうか?
それとも、私が人間との間の娘だから、お婆ちゃんは気に入らないのでしょうか?
お婆ちゃんは、ママのお尻を叩くのを止めて、ママを解放すると、無言のまま私に近づいて来ました。私は緊張し、今度は私がお尻を叩かれるのではと、不安そうな表情を浮かべました。ママも顔色を変えて居ましたが、お婆ちゃんは私に顔を近づけると、ジィと私の顔を見るや、いきなり私に抱き付き頬擦りしてきました。
「イヤァン!可愛いわぁ・・・千聖、もう一度お婆ちゃんって呼んでぇ?」
「「「エッ!?」」」
さっきまでとのギャップに、私もママも、そしてパパも、思わず目が点になりました。キャリィは苦笑しながら、
「リリス様は、千聖ちゃんと会うのを楽しみにしてたニャ」
「そ、そうなの!?」
「千聖、お土産もあるわよ。蝙蝠の丸焼きでしょう、ヤモリの燻製に・・・」
(お、お婆ちゃん・・・有難迷惑何だけど・・・)
お婆ちゃんは私の目の前に、次々にグロテスクなプレゼントを並べて行きました。こっちの世界の祖父母は、孫に甘いって聞いた事ありますけど、それはサキュバスも一緒のようでした・・・