第五話:お婆ちゃんがやって来た-5
暫くして、お婆ちゃんはパパにキスすると、
「ハァハァ、あたしの、負けよ・・・あんた、見直しちゃった・・・名前は?」
「僕は、亨・・・真野亨ですよ、お母さん」
「そう・・・ねぇ、亨・・・あたしの子宮・・・あんたの虜にされちゃった」
「僕も、お母さんのアソコの虜になりそうでしたよ」
お婆ちゃんとパパが良い雰囲気で見つめ合い、ママの頭に付いた小さな翼が、まるで二人の会話を盗み聞きしようとするかのようにピクピク動き、
「ちょ、ちょっとダーリン、お母様も何言って・・・」
頬を膨らませたママが、二人を窘めようとしましたが、お婆ちゃんはパパに抱き付き、
「フフフ、なって良いよ?亨が望むなら、何時でも入れさせてあげる」
「エッ!?あ、でも、マヤに・・・」
「あの子だって、サキュバス何だから、他の男としてるんだろう?」
「エエ、マヤが人間界にやって来たハロウィンが近づくと、身体が火照るそうで、その時期だけは、僕もマヤが他の男とする事を・・・」
パパは、言いづらそうにしながらも、事実をお婆ちゃんに教えました。お婆ちゃんは指を鳴らし、
「なら決まりだ!マヤ、年に一度、亨を借りに来るからねぇ」
「お、お母様、な、な、な、何を言ってるの!?」
「良いだろう!?あんただって、サキュバスの女王を継ぐのは、嫌何だろう?」
「そ、それとこれとどういう関係が!?」
「だから、亨にあんたの代わりの赤ちゃんを作って貰わなくちゃ・・・もっとも、今の亨とのエッチで、子宮が凄く疼いて居たし・・・出来た気もするけど」
お婆ちゃんは、ちょっと意地悪そうな視線をパパとママに向けました。パパとママは大いに動揺し、ママは慌てて私に避妊薬を持って来るように頼み、お婆ちゃんを少し恨めしそうに見ながら、
「ハァァァ!?お母様、今直ぐ避妊薬飲んで!」
「嫌だね!」
「飲んで!」
ママは、お婆ちゃんに何とか避妊薬を飲ませようとしますが、お婆ちゃんはその都度即座に拒否しました。ママに舌を出したお婆ちゃんは、パパに甘えるように、
「ベェ〜!ねぇ、亨ぅ・・・もしあんたとの赤ちゃん出来たら・・・産んで良いだろう?」
「エッ!?そ、それはまずいんじゃ・・・」
「そうよ、そうよ」
パパは動揺し、ママの実の母であるお婆ちゃんを、妊娠させていたらと思うと、ゾッとしたのか、顔が青ざめました。ママの顔を伺いながらパパが口籠ると、ママがすかさずパパを援護しますが、お婆ちゃんは動じず、
「大丈夫、マヤはあたしに逆らえないから・・・良いでしょう?亨、あたしの事・・・嫌い?」
「い、いえ・・・そんな事は・・・」
「じゃあ、決まり!」
「「エェェェ!?」」
お婆ちゃんは、困惑するパパと、文句を言い続けるママを無視し、赤ちゃんが出来たら産むと宣言しました。
もし、パパとお婆ちゃんの間に、赤ちゃん出来たらどうなるんだろう!?
私の妹になるのかなぁ?
それとも、私の叔母さんになるのかなぁ?
両方でもあるんだよねぇ・・・
こんなお婆ちゃんですが、私は大好きになりました・・・
ママはパパに抱き付くと、甘えた声でパパにおねだりを始め、
「ダーリン・・・お母様にした事、私にもしてぇぇ!」
「エッ!?い、今から?」
「してくれなきゃ、人間姿で、ハロウィンでエッチしちゃうからぁぁぁ!」
「そ、それは・・・」
ママに脅迫され、パパが動揺すると、お婆ちゃんはそんなママを見て溜息を付き、
「ハァァァ・・・やれやれ、嫉妬とは見苦しいねぇ・・・マヤ?」
「お母様は黙ってて!どうなの、ダーリン?」
「わ、分かった・・・」
「なら、あたしも混ぜて貰うかねぇ」
「良いでしょう!ダーリンに相応しいのは誰かって事、お母様に教えて差し上げますわ!」
「フフフ、まだまだ青いマヤに負けるとでも?」
目と目で火花を散らす、ママとお婆ちゃん、パパは困惑しながらも、二人から逃げるかのように、私を見ると、ある事を思い出したようでした。
「そ、そうだ千聖、ポストの中に、君当てのプレゼントが入って居たよ」
「エッ!?私に?」
私は、パパから手渡された、どこかのお店の包装紙で包まれた小箱を手にしました。小箱にはメモが付いて居て、それにはこう書かれて居ました。
・・・千聖ちゃん、身体の具合はどう!?僕は何も出来ないけど、千聖ちゃんが早く良くなる事を祈って居ます。薄井・・・
「薄井君・・・アッ!?猫のキーホルダーだ!可愛い!!」
薄井君は、私に可愛い茶色い猫のイラストが付いたキーホルダーをプレゼントしてくれました。私がついキーホルダーを見て笑みを浮かべていると、私の直ぐ後ろから声が掛かり、
「へぇ、千聖ったら、何時の間に新しい彼氏を?」
「流石はあたしの孫、モテモテって訳だね?」
「ママ!?おばあちゃん!?ち、違うわよ、彼氏じゃないし・・・もう、覗かないで」
今までいがみ合って居たと思ったら、私を一緒になってからかう姿は・・・やっぱりこの二人は親子だって思えました・・・