Girl Meets Devil 〜その[〜-1
時刻は6時。
太陽はオレンジ色に変わってきたが、以前元気溌剌として暑い。
辺りの木々からは例年通り、ミーン…ミーン…といった蝉の鳴き声が壊れたレコードの様に絶え間なく聞こえてくる。
そう、季節は夏真っ盛り!
さらに言えば、夏休み!!
さらにさらに、今日は夏祭り!!!
そりゃあ、私だってテンションはハイになるよ!なんたってお祭り大好きだし♪
だから、今浴衣に着替えて恭夜と一緒に出かけようとしている。
そういえば、私…恭夜と二人っきりで出かけたことなかったな……
何かデートみたい。
…………な、なんてね!少々お祭りってことで舞い上がってるみたいだ…
「まだか?」
「ちょっと待って!後、少しだから…」
急いで浴衣の帯を締め、髪を結い上げる。
やっぱり、祭りと言えば浴衣だよなぁ…
「お待たせ…どうかな…?」
「ふむ。こういう時に言う言葉は……」
言う言葉は?
「馬子にも衣装♪」
「馬鹿悪魔ぁあ!!」
悪魔なんかに期待した私が馬鹿だった…
「冗談だ。似合ってるし、可愛いぞ茜♪」
………まあいいや。
一応は褒めてくれたし、後で何か奢ってよ?
「承知した。」
祭り会場は、神社とその近くの公園で行われる。
「うわぁ…凄い人数。みんな他に行くとこないのかなぁ……」
「お前が言うな。それじゃあ、今からどうするんだ?」
「う〜ん…そうだなぁ、確か8時ぐらいから花火が上がるらしいから、それまで屋台でも回ろうよ。」
「そうするか。」
「あっ!私、チョコバナナ食べたい♪やっぱり、祭りにはチョコバナナだよね!」
「………」
「買って♪」
「………」
「買え♪」
「……承知した。」
そんな感じで食べ歩きをしていると向こうから、何やら見たことのある人がやってきた…
その人は私達に気付くと、にこやかに微笑みながら近付いてくる。
隣りの悪魔はあからさまに不機嫌になっている……
「こんばんは、茜さん。」
「こんばんは…天宮せん…」
「帰れ!」
私が最後まで、言い終えないうちに恭夜が叫ぶ。