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今を生きる
【ファンタジー その他小説】

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今を生きる-1

オレの名前は神田。高校生。自分で言うのもなんだけど不良だ。毎晩、単車を乗り回し連れ達と騒ぎ立てる。毎日が楽しくてしょーがない。そんな日が続いたある日、いつものように深夜に単車を乗り回していた。どこまでも続く真っすぐの道、この先には十字路がある.....そこをブレーキをかけずに曲がるのがオレの日常だ。今日はいつもよりいい気分だ、スピードを無意識に上げていた。十字路にさしかかった時、信号は赤だった、「カンケーねーよ」迷わず左に曲がったその時だった、トラックが正面に見えた、「ドーン!!!」 ..............気がついた時、オレはベッドの上だった。手足が上手く動かない.....いや動かそうとすると手に激痛が走る、しかし足はピクりとも動かないうえに痛みの感覚すらない......嫌な予感が頭の中をよぎった。次の日、医者がオレの病室に来た「神田さん大事なお話があります」真剣な表情で医者は言った。.....長い沈黙のあとオレは言った。「治りますよね?」医者は目をそらし、少したってから言った「あなたの足はもう動きません」.....予想通りだった。医者は話を続けた。「リハビリして下さい、歩くことはできなくても、車椅子という形で生きていきましょう」それだけ言って、医者は部屋を出た。歩けない...オレは自分に絶望した。そして、なぜオレなんだ!と思った...が今まで自分がやってきたこと、振り返ると深夜に単車を乗り回していた自分が浮かんだ.....その行為にどれだけの人が迷惑しただろう..... そんなことに今ごろ気がついた.....きっとこれは神が与えたオレへの罰なのだろう。そう思った、その瞬間、死のうと思った。オレが選択した自殺方法はリストカットだ。だけどそれにはナイフが必要だ。しかし今ナイフを手に入れることはできない。身動きが上手くとれないからだ、もし手に入れたとしても、このままでは自殺は失敗するだろう。
「リハビリをやろう」リハビリをして車椅子に乗れるようになったら、それがオレの命日だ。
その日から、死ぬためのリハビリが始まった。オレは死に物狂いでリハビリに打ち込んだ。早く存在を無くしたかった。このぶざまな姿の自分を早くこの世から消したかった。半年後....オレは医者から「よくがんばったね、もうリハビリは終わりだよ」と言われた、心のそこから思った。やっと.....死ねる。その夜、手に入れた果物ナイフをポケットに隠し、病院のトイレに向かった.....そしてオレは自分の左手の脈を震えながら切った....その時だった「何してるの!!!」夜勤の看護婦に見つかった。失敗した.....涙が溢れた「死なせろ!!!」そう叫んびながら一命をとりとめた。
次の日、病室を変えられた。オレへの監視も厳しくなり、退院するまでは自殺はできないだろう。その日からオレは感情を抜かれた人のように、なにもせず、なにも考えない日々が続いた.....そんなある日オレはとなりのベッドの患者に気付いた。オレより少し年上の男だった。その人は、見る限り、首から下が動かないようだ。しかし毎日楽しそうだった。いつも口でペンを持ち、絵を書いている、人との会話も多く、表情は笑顔ばかりだ。オレより動く体は少ないのに、彼はオレの何百倍も楽しそうだ.....。ある日オレは尋ねた「なぜ、そんなに楽しいそうなの?」彼は何の躊躇もせず笑顔で答えた。「僕は首から上が動ける、そうすれば、絵を描ける、人と話せる、食べ物を食べれる、やれることはたくさんあるよ。.....きみは僕よりやれることがたくさんあるのに、なぜやろうとしないんだい?」オレは驚いたそして、今まで死ぬことしか考えていなかったが、生きることの大切さに気がついた。そしてオレは自分にできることを探し始めた。今は車椅子のバスケットボールチームに入っている。新しい仲間達と共に。


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