私に見せながら-1
「ねえ、ユウイチ。」
「ん?」
「まさか、とは思うんだけど、逆玉狙ったの?」
「そうだよ。」
「そ…」
「ウソ。でも、配属以来、ずっとキョウコを狙ってたのは本当だよ。」
「それが信じられないのよね。君だったらいくらでもオンナ寄ってくるでしょうに。」
「同じ言葉、キョウコに返すよ。」
「えー、オンナなんか寄ってこないよ、一部例外を除いて。」
「オ、ト、コ。」
フ、と顔を緩ませると同時に私は目を閉じた。
「まあ、もうちょっと若いころはそれなりにね。でも、なんというか…みんな腰が引けててね。むしろ腰を突き出して欲しかったんだけど。」
「いいオンナ過ぎるんだよ。あと、」
「お嬢様?」
「それ。」
下唇を噛んだ。
「そっか。」
「そういう属性に惑わされて、キョウコの本当の魅力に気付かないんだよ。」
「本当の魅力?例えばこんな所に歯形付けちゃったりとか。」
ユウイチのそこを指先で撫でた。
「うん、いい記念になったよ。会えない時もこれを見てあの日の事を思い出して、胸が熱くなる。」
「熱くなるのは胸だけ?」
「いや、えっと、もちろんここもだよ。」
「で?」
「で?って?」
「その熱くなったものをどうするのかなー。」
ユウイチは苦笑いをしながら寝返りをうち、私の頬を両手で挟んだ。
「訊く?それ訊く?」
「訊く。てか、見たい。」
「見たい?それ見たい?」
「見たい。てか、むぐぅ…。」
唇を塞がれた。そして。
ユウイチは膝立ちになり、自分でしごき始めた。
「わお、するんだ、ホントに。私に見せながら。」
「見たいんだろ。うっ。」
「あら、もう出そうなの?」
「まさか。」
ユウイチの手の動きが、速く強く激しくなっていく。
私はそれをベッドに寝ころんで頬杖を突いたまま見つめている。
「うう…。」
彼の息がどんどん荒くなっていき、肩が大きく上下し始めた。
「ぐ、ぐうぅ…。」
固く目を閉じ眉根を寄せて、歯を食いしばって握りしめ、スゴイ勢いで手を往復させている。
「う、う、」
「出るの?出るの?」
「まだまだあ!あ…。」
ドブシューン。ベチョ。
「もう!」
「ごめーん。」
私は顔にかかったそれを舌で舐めながら笑った。ユウイチも笑った。
「そろそろホンキで決めないとね、式の事。」
「そうだな。でも、キョウコの方の出席者が凄すぎて、バランスとるのが大変だよ。会ったことないのに知らない人が一人も居なんだからな。諦めた。」
彼はアメリカ人みたいに両手を上げた。
「…ほんとはね、式なんてしたくないの。それよりも二人っきりで居られる時間がたくさん欲しい。」
「俺もだよ。でもなあ、そうもいかないんだよな。」
「お嬢様だから、か。」
「お嬢様だから、ね。」
あーあ、つまんないなあ、お嬢様なんて。