歯形、残っちゃうかもよ-1
「なかなかいいモノ持ってるじゃない。」
怯えたような目で床をみつめているその膝は、微かに震えている。
そして、震えているのは膝だけではない。露出させている体の一部分も緊張のあまり硬くなり、私の方を睨むように突き出して震えている。
「さて、それをどんなふうに可愛がってあげようかしら。ねえ、君はどうされたい?」
彼は俯いたまま答えた。
「どう…にでも。キョウコさんのしたいようにして下さい。」
ふむ。出しなさいと言ってはみたものの、その後の事は具体的には何も考えてなかったなあ。
「ねえ、君はどうされたい?」
「どう…にでも。キョウコさんのしたいようにして下さい。」
先に進まん。
「あ、でも。」
「ん、何?」
「お詫びなんですから、なるべく酷い事をして下さい。そうじゃないと意味がないから。」
「そ、そう?」
酷い事、か。
「じゃ、こんなのとか。」
パシ。
「うっ。」
彼のそれを平手打ちした。
「ごめん、さすがに今のは」
「もっと、もっとして下さい!」
え。
目が真剣だ。それほどまでに私に詫びたいという事か。ならば、私はそれに応えてあげなくてはいけないわね。
パシ、パシ、バシーン。
「う、ううっ、ぅあぁ。」
バシビシドカボコボコバチーンビシィ。
「くはぁあぁあっ!」
ユウイチ君はハア、ハア、ハア、っと肩で息をしている。やっばり痛いよね、こんなとこ殴られたら。
私もハア、ハア、ハア、っと肩で息をしている。やっぱり疲れるよね、これだけ殴ると。
でも、なんだか違和感が。なんだろ。
私は跪き、至近距離で観察した。
シワシワの裏側、モジャモジャな根元から先端にかけての裏、表、右、左、正面。
静脈がボコリと浮き上がり、ドクンドクンと脈動し、それに連動するように全体がビクンビクンと上下している。
彼は足を閉じ、モゾモゾし始めた、そんな事をしたって丸出しなのは変わらないのに。
「恥かしい?」
「そりゃそうですよ。」
「恥ずかしがらなきゃいけないような粗末なものじゃないわよ?」
「そういう問題じゃありませんよ。それに。」
「それに?」
「そんなに見つめられたら、ムズムズしてきちゃいました。」
「どういうムズムズなの?」
ユウイチ君は、跪いている私と目を合わせたまま、何も言わない。
「こうされるとどう?」
シワシワの裏側にチロリと舌を這わせてみた。それはキュっと縮んだ。
彼は目をつぶり、じっとしている。でも、私がそのまま何もしないでいると、瞼を開いて何とも言えない顔で見つめてきた。
「もっとして欲しいの?」
一瞬の躊躇いの後、コクン、と頷いた。うーん、素直でいい子だ。私のスイッチがオンになり、下腹部が熱くなってきた。
私は無言でシワシワの裏側に舌を伸ばした。
チロ、チロチロ、チロリン。
ユウイチ君は強く瞼を閉じ、ため息の様なものを漏らして、自分で捲り降ろしているトランクスのゴムを握りしめている。
私はそのまま根元へと舌を進め、さらに、先端へと向かって舐め上げて行った。
ゴールに近づくにつれ、彼の息が荒くなっていくのがはっきり分かる。
そして、ついに舌が先端に
「え?」
ユウイチ君が私の肩に手を置いた。
「何?」
「あの、キョウコさん。それじゃあ普通に可愛がってもらってるだけじゃありませんか?」
「うーん、まあそうね。もっとエゲツナイ事、してあげた方がいいのかな?」
ユウイチ君はゆっくりと頷いた。
「そっか、お詫びだもんね。痛めつけてあげなきゃいけないんだよね。でもねえ、何しようか。」
彼は不安そうに私を見ている。さて。
「じゃ、噛んじゃうとかどう?なんてね。」
あれ、目が笑ってない。むしろ。
マジか。
私は横から口を近づけた。
「んあ。」
口を開けて咥え…ようとした。
むう、これは。こんな太いもの、口に入るのだろうか。
「あむ。」
やっぱり完全には入らないが、噛める程度には口に収まった。
「んぐうぅ。」
軽く噛んだ。
「くっ。」
ユウイチ君は堪らず腰を少し引いた。
痛いよねえ、こんなとこ噛まれたら。
「ぷは。止める?よね。」
「いえ、もっと強くお願いします。」
いや、お願いされちゃってもなあ。まあ、求められたのなら応えてやるか。可愛い部下だし。関係ないけど。
「んあ。」
再び口に咥え込んだ。そして。
「んー!」
力いっぱい噛んであげた。
「くはあーっ!」
ユウイチ君は歯を食いしばり、膝をガクガクさせながら耐えている。
「ハア、ハア、」
「ハア、ハア、」
私は口がダルくて、彼は痛くて、肩で息をした。
「ねえ、ハア、歯形付いちゃったよ。ハア、」
「ええ、ハア、ありがとう、ハア、ございます。」
「始めてよ、フウ、歯形つけてお礼されたの。」
「お礼以外を、フウ、されたことはあるんですか?」
「…。」
「あ、ごめんなさい。」
「いえいえ、こちらこそ…。」
それにしても。自分がしたこととはいえ、かなり深くミゾが入ってるなあ。
「歯形、残っちゃうかもよ。」
「今日の記念にいただいておきますよ。」
「イキなこと言うねえ、キミ。」
照れたように口元を緩めて私をみつめてきた。
「上等じゃない。ご希望通り、痛めつけてあげようじゃないの。」