色-9
「あの後、周りへのけん制も込めて、もうこの子は俺のだぞって意味で
大胆に噂になるような行動をした。
エレベーターのやつも会議が終わった後のデートの誘いもそれだな」
く、空気が読めない行動かと思ってた!
私もまだまだだな!
「オフィスラブって難しいんですね。
もっと毎日社内で相手を見つけるたびにドキドキするような、
そんな恋だと思っていました」
複雑な顔をした私を見て安達さんが声を出して笑った。
「漫画の読みすぎ。ドラマの見すぎ」
おでこをコツンと叩いた。
「オフィスラブはドラマで見るより厄介なんだよ」
「・・・・」
「広がれば、次に付き合うやつが気にするし
ナイショにしてれば他のやつがモーションをかけるのを見なきゃなんないし」
「・・・・」
経験があるのだろうか?
あの人と・・・
「だから俺は広めるほうを選んだわけ」
「・・・・」
「美鈴と別れなきゃいい話だしな」
「私で、いいの?」
「なんで?」
「大人の恋は出来ないし。
オフィスラブも上手く出来ない。
そんな私でいいのかな・・・って」